賃金上昇が競争の妨げに
一方雇用者側を代表するVCCIのPhong氏は、最低賃金の高騰は地元企業の生産体制の再編を余儀なくさせ、職員の解雇やその他の社会問題を生み出すため、賃金の引き上げは耐えうる範囲にとどめたい、と述べた。
Phong氏によると、地元企業の業績は少しずつ伸びているという。
しかしながら、織物・衣料品、革製品・履物、シーフード、エレクトロニクス部門の業績が伸びている企業も、最低賃金の急激な引き上げにより困難に直面する見込みである。
報告書によると、ベトナムには全国約5440万の労働者がいるが、企業や組合と労働協約を結んでいるのはわずか17%に過ぎない。
かくして、もし最低賃金が高値で固定されれば、その他の社会的要因もそれにならうこととなり、調整の対象となる非正式分野で働く労働者たちに影響が出る。
ベトナム皮革履物鞄協会のNguyen Duc Thuan会長は、企業は常に従業員を成長の要としていると述べた。
しかしながら、もし企業側が従業員の生産性を向上させ、科学・技術の進歩を生産体制に組み入れる方法を見つけることができなければ、他の近隣諸国と比較して賃金の上昇がベトナムにおける労働コストを高いものとしてしまい、競争力が低下してしまうという。
委託料の低い他の国に加工契約が流れてしまう可能性もあると同氏は述べた。
結果として製品の注文数の減少に繋がり、従業員は職を失うことになるかもしれないという。
VCCIによると、革製品・履物及び繊維企業の輸出製品の依託費用のうち、給与基金の占める割合は70-78%である。
最低賃金の毎年の引き上げと下落する委託料により、企業側の利益は減少している。
そのため、企業の多くは職員の給与を頻繁には引き上げまいとし、場合によっては上昇する生産コストを相殺するためにボーナスをカットする場合もある。
また最低賃金が高くなるにつれ、労働者の社会保険や組合費用、残業代も上昇している。
労働組合との意見の相違
一方ベトナム労働総連合によると、社会経済的な情勢は改善しており、消費者物価指数は4-5%の高値を維持しているため、翌年の最低賃金の大幅な引き上げはインフレーションを相殺することになるという。
連合が行なった調査では、全国17の省や都市の労働者の51%が生活のために残業しており、うち54%が現在の最低賃金レベルではやりくりすることができないと回答しているという。
そのため連合は8%もしくは10%の最低賃金引き上げを要求している。
労働傷病兵社会省の副相であり国家賃金評議会の長であるDoan Mau Diep氏は、両者間は歩み寄りを見せているものの、依然として意見には大きな差があると述べた。
現行の規定によると、50%以上が投票する案に両者が合意すれば、評議会の最終決定となる。
さもなければ両案は投票により決議されることとなり、獲得票数がより多い案が最終的な最低賃金引き上げ案として首相に提出されることとなる。
国家賃金評議会の次回交渉は8月7日に予定されている。