また、射殺された市長夫婦の娘(現オサミス市副市長)など数人が共和国法10591号(包括的銃器取締法)違反で逮捕された。
この副市長宅の捜索ではライフル銃の他に、覚醒剤500グラム、現金140万ペソが押収されたが、逮捕された副市長は『これらの証拠は警察によるでっち上げ』と主張している。
これに対して捜査当局は『捜査は令状に基づいて適法に行われた』と発表し、双方の主張が食い違っている。
今回の捜索による容疑者の皆殺しという結果になったのは、違法薬物関与者の抹殺をスローガンに当選したドゥテルテ大統領の意向に沿ったもので、就任2年目を迎えたドゥテルテは施政方針演説でスローガンの徹底を強調している。
こういった超法規的殺人は内外の批判を浴びているが、容疑者殺害の勢いは止まらず、この1年で1万人に近づいているとの指摘もある。
今回の捜索だが、射殺されたオサミス市長は大統領が指示し作成された『違法薬物関与者』リストに載っている政治屋の1人で、従来から違法薬物犯罪組織との関与が疑われていた。
また、逮捕された娘はマニラ首都圏にある刑務所に違法薬物違反で収監されている大物受刑者と繋がりがあったと捜査当局は発表しているが、真偽のほどは不明。
このため、娘は捜査当局によって自身が抹殺される可能性があるとし、警察以外の別の捜査組織に身柄を移すように司法省に要請している。
なお、現地の報道によると、射殺された市長は捜索時に無抵抗で、所持している銃器を差し出していて、殺害された15人の中には捜索に巻き込まれて無関係な人物も多く、警察による初めに抹殺ありきの皆殺し作戦の不当性と、警察側に死者が1人も出ていないのも不自然と伝えている。
今回の地方に巣食う政治屋の違法薬物関与は、ドゥテルテが就任直後にリストを公表してこれら政治屋は肝を冷やしたが、その後こういった政治屋には手が付けられず、殺害されるのは小物の密売者等ばかりであった。
セブ島でも一番北にある町の町長選で、辛うじて勝った元警察高級幹部など名指しをされながら居座っているのが実情で、本当にドゥテルテが叫ぶ違法薬物撲滅は効果があるのかと疑問視される向きもある。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=417
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