ポーランド司法改革法案に大統領が拒否権発動
ポーランドのドゥダ大統領は24日、政府が進める司法改革に対し拒否権を発動した。司法の独立を定める憲法に抵触する懸念があるためで、法案を下院に差し戻した。夏の休会中に独自法案を策定するという。与党・法と正義(PiS)の支援を受けて当選したドゥダ大統領が政府の方針に反対したのは今回が初めて。その行動に波紋が広がる一方で、国内外からの批判の勢いをそぐ方策に過ぎないとみる向きもある。
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司法改革は3法案から成る。ドゥダ大統領はこのうち、法務大臣に下級・高等裁判所の長を指名する権限を認める法案には署名し、その発効を認めた。拒否権を行使したのは、法務大臣に最高裁判官全員を即時解任し、新任者を指名する権限を与える法案と、最高裁判官の任命権を持つ全国裁判評議会(KRS)の評議員を議会が任命できるようにする法案だ。
最高裁判所の人事権を行政府と立法府が握る内容で、欧州連合(EU)は最悪の場合、「EUにおけるポーランドの議決権停止もありうる」と見直しを強く求めている。また、法案が上下院で可決されて以降、ワルシャワなど国内各都市では数十万人が参加する抗議行動が1週間以上続いている。これらがドゥダ大統領の決断につながったとみられている。
差し戻された法案を下院が60%の賛成で再可決すれば、大統領の拒否権を覆すことができるが、現行の議席配分ではPiSが60%を確保するのは難しい。このため、夏の休会後の9月に修正案が審議される見通しだ。
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