この大統領令は公共交通機関内とその乗り場、全ての政府機関建物内などが全面的に喫煙禁止となり、商業施設や飲食店などにも『指定喫煙所』の規定が厳しく規定されている。
こういった喫煙に関してはマニラ首都圏のマカティ市やタギグ市などビジネス街を抱える市や各地の自治体などでは条例を定めているが、今回の大統領令はそれら条例を上回る厳しさとなっていて各自治体は大統領令に対応するために対策に苦慮している。
特に指定喫煙所について自治体の条例では『換気装置を備えた空間として仕切る』とあるが、大統領令では具体的に規定されている。
この規定では飲食店など店内で喫煙できるのは禁煙スペースとは完全に扉などで区切り、しかもその周りには緩衝空間を設ける必要がある。
また、喫煙できる面積は緩衝空間を含めて延べ床面積の20%以下とし、さらに通路や建物の出入り口から10m以内の喫煙所の設置は禁止、また一つのスペースに1ヶ所としている。
このため、厚生省では屋内で喫煙するのは大統領令の内容から難しくなり、屋外に指定喫煙所を設けるのが望ましいと勧めている。
これについては受動喫煙の害がなくならないと非喫煙者から反対も強いが、屋外に指定喫煙所を設ける商業施設や飲食店が続出。
この指定喫煙所だが、指定喫煙所を示す看板や張り紙の設置義務があるものの、喫煙者自体のマナーが悪い現状から指定場所以外への吸い殻のポイ捨て、近場での喫煙にお墨付きを与えるものだと批判も強い。
なお、大統領令では電子タバコなど疑似タバコは規制の対象となっていなくて、厚生省ではこちらについては各自治体で条例を定め取り締まりを行って欲しいと要望している。
今回の大統領令について歓迎する意見も強いが、喫煙を取り締まる警察や自治体が設置する対策班など体制は泥縄状態で、その実効性を疑われる面も強い。
また、今回の規定には罰金が設けられていて、初回の違反で500~1000ペソ、2回目で1000~5000ペソ、3回目で5000~1万ペソを科せられるが、現場任せの裁量であり罰金が賄賂に変わる可能性もあり前途多難の船出となっている。
喫煙に関してASEAN加盟国は喫煙率が非常に高く、インドネシアが喫煙率世界一の67%(男性)と驚異的な数字を示し以下ラオス48%、タイとヴェトナムが46%、フィリピンは44%で次にマレイシア43%と世界の上位を占めている。
喫煙率は世界平均では33%(男性)となっていて、喫煙に対して厳しい目が向けられ始めた日本が世界平均をわずかに上回る34%となり、相変わらず喫煙者は多い。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news03&config=&command=body&no=420
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