海外ビジネスニュースを毎日配信!− DIGIMA NEWS

ツナ缶世界最大手のタイ・ユニオン、シーフードの持続可能性と 社会的責任の向上を発表

 
今回のタイ・ユニオンの誓約は、同社のサステナビリティ戦略『SeaChange』を土台とするもので、世界に広がるサプライチェーンにおいて最も優れた漁業活動を支援し、その他の漁業活動も改善することで、違法またはエシカルでない活動を削減し、より責任のある方法でとられたマグロを主要な市場へもたらす。
 
グリーンピース・インターナショナルの事務局長バニー・マクダーミッドは、「私たちの海とそこに暮らす生きもの、そして水産業界で働く人々の権利にとって非常に大きな進歩だ。もしタイ・ユニオンがこれらの改善を実行すれば、その他多くの企業も同じ水準を目指さざるを得なくなるプレッシャーとなり、必要とされている変化を促進する。その他の企業はいま、率先してリーダーシップを発揮することが求められている」と主張した。

タイ・ユニオンは包括的な改善計画に同意し、その発表は次のことを含む。

●世界のサプライチェーンで使用する人工集魚装置(Fish aggregating devices:以下、FADs)を2020年までに半減するとともに、同期間内にFADsを使用していないことを証明できる魚の供給量を世界の市場で2倍にする。FADsは漁の効率を上げるため魚をおびきよせる浮遊物で、その周りに小さな生態系を形成し、漁の対象となるマグロ以外に、サメ、ウミガメ、未成魚のマグロなどの生きものをとってしまう原因となる。

●グローバルなサプライチェーンで実施している洋上転載(海の上で積み荷を移し替える行為)に対するモラトリアム(一時禁止)を、サプライヤーが新たな厳しい条件を満たさない限り継続する。洋上転載は何カ月、ときには何年にもわたり漁を続けることを可能にし、違法な活動を助長する懸念がある。

●洋上転載を行うすべてのはえ縄漁船に独立した監視人(オブザーバー)を配置し、労働者が侵害されていないかを調査・報告させる。取引のあるすべてのマグロはえ縄漁船に監視人、または監視技術を設置する。

●海上の労働者が人道的で公平な待遇を受けることを確実にするため、サプライチェーンに関わる全ての漁船が従うべき包括的な行動規範を策定し、現行の企業倫理基準と労働者の行動規範を補強する。第三者による独立した監査機関を設立し、監査結果を一般に公表するとともに、改善事項の達成を確実なものにするための明確な期限を定める。

●2020年までに、マグロ漁の大部分をはえ縄から一本釣り、または曳き縄に移行し、混獲を減らすための有効手段を実行する。はえ縄漁船は、漁の対象ではない海鳥やウミガメ、サメなどを混獲するリスクがある。

●トレーサビリティをすべてデジタルに移行し、どの船で、どのような方法でとられたマグロなのか、人々が情報をたどれるようにする。

タイ・ユニオンの ティラポン・チャンシリ最高経営責任者(CEO)は、「タイ・ユニオンは、世界最大の水産企業のひとつとして、ポジティブな変化を起こすリーダーとしての役割を全うする。私たちはグリーンピースと合意し、より強化されたサステナビリティ戦略『SeaChange』、そして、健やかな海と将来世代への共通のビジョンを継続して実行することに期待を寄せます」と発表した。

グリーンピースとタイ・ユニオンは、成果と進捗状況を評価するため、半年ごとに話し合いの場を持つことにも合意した。総括として、2018年に、独立した第三者機関がそれまでの成果を評価する。

さらに、グリーンピースの事務局長は、「タイ・ユニオンは、破壊的な漁業や強制労働、エシカルでない活動に対峙するための新しい水産業界の基準を設定した。水産業界に問題の解決を求めてきた世界の何十万という人々にとって、今日は素晴らしい日です」と続けた。

タイ・ユニオンは、世界的に知られたツナ缶ブランド、『チキン・オブ・ザ・シー』、『ジョン・ウェスト』、『プティ・ナヴィール』、『マーレブル』、『シーレクト』などを所有している。国際署名では世界中から70万人近くの市民が、よりサステナブルでエシカルなツナ缶を販売するよう、タイ・ユニオンに働きかけた。

グリーンピースは、その他の関係機関、独立監査役と共に、今日の発表が海にとって確実に変化をもたらすよう、タイ・ユニオン、そしてより幅広く水産業界の行動を見守り続ける。
 
ソース:http://www.thaich.net/news/20170712gg.htm
 
タイニュース一覧▶https://www.digima-news.com/category/country/southeast_asia/thailand