このランキングでは紛争、戦争地域での殺人事件件数の統計は取れないため、紛争地域を除外して調査したものである。
尚、人口30万人以上の都市のみを調査対象とした。
また、都市の暴力性、治安レベルの指標としては、人口10万人当たりの殺人事件発生件数をもとにランキングにしている。
5位 マトゥリン、ヴェネズエラ
ヴェネズエラ北部の都市マトゥリンは人口49万100人の都市で、石油産業の中心地である。マトゥリンは人や物の輸送において、複数の交通手段の接続が行われる場所であるが、その分問題を抱えている都市だ。
カリブ海やアメリカ合衆国への移動が容易であることから、マトゥリンは「ドラッグパラダイス」との呼び名もある。ヴェネスエラの非効率的で汚染された法律の取り締まりと、力を持つドラグカーテルの存在が相まって、マトゥリンは世界で5番目に危険な都市としてランクインされることになった。
このランキングの他の都市は「最も危険な都市ランキング」の常連であるが、マトゥリンに関してはニューエントリーだ。人口10万人につきの殺人事件件数は86件で、これは国際平均の9倍である。
住民10万人当たりの殺人事件発生件数:86件
4位 アカプルコ、メキシコ
メキシコのアカプルコは、以前はアメリカ人の若者がこぞって訪れる人気観光リゾートであったが、今では「殺人の都」と呼ばれるようになり、ビーチリゾートを訪れる人の姿は珍しくなった。華やかなにぎわいは失われ、断崖絶壁から海に飛び込む伝統行事のダイバーたちの姿よりも、死体写真が新聞に取り上げられることの方が多くなってしまった。州の検察当局によれば、アカプルコでは毎日2~6人が殺害されている。
メキシコの大都市圏での暴力に関する全国規模の意識調査では、自分の街を安全でないと感じている住民は、アカプルコで88%を超え、全国で最も高い数字となった。アカプルコでは2008年~12年にかけてギャング間の抗争が急増し、外国から訪れる観光客が減り始めた。09年には、春休みを利用して同地を訪れた米国人学生は3万人だったが、2年後にはわずか500人に減少し、現在ではほとんどその姿を見かけることはなくなってしまった。
住民10万人当たりの殺人事件発生件数:105件
3位 サンサルバトル、エルサルバドル
エルサルバドルの首都、サンサルバトル。サンサルバドル市民は富裕層と貧困層の二つに分けられる。 エルサルバドルの地方都市に比べれば豊かだが、貧困は同市の最大の問題である。
30年前の内戦以前から存在する「死の部隊」により、現在も元ゲリラ兵士や、非行少年、ホームレスなど社会的に好ましくないと見られる存在が暗殺される事件がおきている。この地域で生まれた非行少年や犯罪者はアメリカ、ロサンゼルスに移り住み、ギャングを形成する。最も有名な大規模ギャングといえばマラ・サルバトルチャ(MS13)とBarrio 18 (M18)。組織はエルサルバドルを中心にグアテマラ、ホンジュラス及びその他の中央アメリカ諸国出身者などで占められている。犯罪組織としての活動は麻薬密輸、ブラックマーケットにおいての銃の不法販売、不法入国、殺人の請負、窃盗などを行い、さらには当局に対しても好戦的な活動を行っている。
サンサルバトルのなかでも最も危険な地域と言えば、ソヤパンゴだ。ここでは毎年、千人に一人の割合で殺人事件が起きている。この殺人事件発生率の高さは、ギャング同士の抗争に原因がある。
住民10万人当たりの殺人事件発生件数:109件
2位 サン・ペドロ・スーラ、ホンジュラス
ホンジュラス政府の発表によると2014年の殺人による死者は5,801人で、前年比630人減少した。サンペドロスーラは前年の「危険な都市ランキング」で1位だったが、今年は2位に下がったことからも、治安は少しだけ改善したと言える。しかし、それでも殺人事件発生率は西ヨーロッパ平均より100倍多い。
コルテス県内の殺人の多くはサンペドロスーラ市及び周辺地域で発生している。サンペドロスーラ市では、首都テグシガルパ市よりも犯罪組織「マラス」の活動が活発で、強盗が多発していると言われている。2013年1月、同市内をカメラで撮影しながら散策中の外国人旅行者が強盗団に襲撃され、カメラ等の所持品を奪われた後に射殺される事件や、2014年10月、カナダ人2名が銀行から大金を下ろした直後に襲われて銃撃を受け、重傷を負う事件も発生している。
1位 カラカス、ベネズエラ
カラカスも 「危険な都市ランキング」で常に上位にランクインされる都市である。
ベネズエラは,南米で最も治安の悪い国の一つとされており,年に数回,日本人がけん銃使用の強盗被害に遭っている。2015年の犯罪発生件数(310,583件)は前年よりも約13.1%増加。政府は2013年5月から,国家警備軍(GNB)を街頭に出動させ治安対策に当たらせるなどの対策をとっているが,原油価格の低迷や経済状態の急激な悪化の影響もあって,治安の更なる悪化が懸念されいる。
そんなヴェネズエラ国内全体の凶悪事件の約20%がカラカス首都圏で発生しているのだから、このランキングで1位となるのもうなずけるだろう。大規模な貧民街がある場所では,違法なけん銃やレンタルのけん銃を使用した凶悪事件が多発。殺人事件の約80%がけん銃によるものとされており,極めて危険な状況である。また,カラカス首都圏では,2011年以降,外国人が被害に遭う誘拐事件が多発しており,今後も外国人が標的とされる可能性が高い。
カラカスの危険度は、イラク戦争や現在のバグダッドよりも危険だとする人もいる。
カラカス首都圏内及び各地域では治安の悪化が顕著であり,従来比較的安全とされてきた地域においても夜間の移動のみならず昼間でも,殺人,強盗,誘拐等の凶悪犯罪が多発しいる。スクレ市ペタレ地区には,カラカス最大の貧民街(スラム街)が広がっており、警察でも数十人規模の部隊を編成しなければ,危険で立ち入れない場所となっている。また,ひったくり,置き引き,スリ等の犯罪数も依然として高水準で推移しているが、これらの犯罪の約60%は公道上で発生している。
ソース:https://www.madameriri.com/2017/07/08/dangerous-cities-world-2017/