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カンボジア・Nike、Asics、Puma関連の工場で働く女性労働者が集団卒倒に苦しむ【後編】

 
(前編より)
 
集団卒倒について研究している医療社会学者のRobert Bartholomew氏は、劣悪な環境下で長時間勤務が行われた19世紀の英国において頻発した類似の事故と、カンボジアの事故を比較検証している。それは「潜在的な政治的抵抗」の一形態である、と彼は指摘した。「こうした事故が頻発する原因は肉体的ではなく心理的なものであり、集団における心因性疾患の一種なのです。」とBartholomew氏は述べた。
 
「労働者に栄養価の高い食品を提供することは有効で良いことですが、長時間労働、ストレス大きい労働環境、低賃金の問題についても徹底的に改革することが必要です。」と彼は述べた。
Observer and DanwatchがPuma、VF Corporation、Nike、Asicsに確認したところによると、これらの企業では昨年の11月から今年3月にかけて発生した一連の事故について調査を行ったという。
Nike社は火災予防の措置をとり、火災訓練の回数も増加させたとした。また内部監査によりNike社の定める上限値を超える最高30℃の室温が検出されたため、冷却システムと空調設備も新たに導入された。「社会への影響と工場における是正措置の必要性を示す兆候と受け止め、我々は真剣に失神の問題に取り組みます。」とし、Nike社ではまた、短期雇用契約制を採用しないこととした。
 
Puma社は、栄養補助食品の提供や健康診断の実施、換気システムのメンテナンス、労働者管理委員会の設置などの勧告を行ったことを明らかにした。またPuma社では現在、2年以上勤務する労働者について、短期雇用契約から切り替えようと計画している。こうした取り組みは、国連の労働機関と国際金融公社とのパートナーシップからなるBetter Factories Cambodia(BFC)と共同の取り組みである。「集団卒倒の原因は複数あり、それらは複雑に絡まりあっています。」とした。「ブランド各社、工場、労働者、政府との間で協力的な取り組みが行われてこそ、状況は改善されることになるでしょう。」
 
Asics社もまた、BFCとも協力し取り組んでいる。「労働者の失神は、さまざまな要因によって引き起こされる複雑な問題です。」とし、「工場ではAsics社とBFCと共に、労働者の意識改革と安全衛生トレーニングに注力するだけでなく、換気システムの改善を含む様々な問題に対処して参ります。」と続けた。
 
VF社は世界的に1000ものサプライヤー工場と共に取り組んでいるとした。「当社のチームは温度管理や休憩時間など、契約サプライヤー工場における労働条件がその地域の法律や規制に沿っていることを確実なものとするよう懸命に努力しています。」とした。
 
Photo by Paul Townsend on Flickr

ソース:http://apparelresource.asia/news/item_2926.html

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