日本人商工会とフィリピン国軍がコラボ? 安全対策セミナー開催
戒厳令下のフィリピンミンダナオ島ダバオ市において、6月22日、ミンダナオ日本人商工会議所(JCCM)がフィリピン国軍東ミンダナオレイ・レオナルド・ゲレロ司令官を招聘し、安全対策セミナーを開催した。ゲレロ長官は、政府内部で次期国防省長官の辞令が出ている人物である。
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講演冒頭、JCCMの中尾圭佑会頭から、「ミンダナオ島の治安に関して確固たる権限を持つソースからの正確な情報を伝えることが重要であるとの観点から、今回ゲレロ司令官をお招きして講演を開催するに至った」と開会の挨拶があった。
ゲレロ長官は、4つの地方と17の州、各地域の特別部隊等を管理下に置き、ミンダナオ島の東側を担当しているフィリピン軍東ミンダナオ司令部(以下EMC)の最高司令官。
EMCの主なタスクは現地反政府組織の制圧や、市民の安保であり、現在直面している課題は一般的にはゲリラ呼ばれるCPP、NPA、NDFなど反政府組織、及びバンサモロイスラム解放戦線、アブサヤフ、マウテグループなど現地テロリスト組織の制圧である。
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これまでのEMCの功績もあり、NPAなどゲリラ組織が起こす事件やトラブルは近年概ね減少してきているが、5月のマラウィ攻撃に始まったIS関連のテロ組織の活動がこの1か月高まっており、国家も多くの軍をミンダナオ島に送り、現在制圧を急いでいる状態。
ゲレロ長官は講演で、現在戒厳令が敷かれているミンダナオの状況やテロリストの活動、防衛状況などを説明し、ダバオ市自体は安全下に置かれていることを強調した。EMCシステムは、戦闘だけでなく、チェックポイントの強化や、安全保障協議会への積極的な参加、法律整備の補助、積極的なメディア対応、そして救援品の運搬、避難民の援助、被災地の援助など様々な活動を担っていることをプレゼンテーション形式で説明。さらに、テロ対策特別部隊のタスクフォースの拡大化、国境警備システムの強化、中央集中型報告システム、など海上巡視の強化、今後のEMCの課題についても述べた。
また、オープンフォーラムにおいて、ゲレラ司令官は、フィリピンで現在活動するISISの規模について「少なくはない」と発言。これには、元々ミンダナオに点在するマウテグループなどの小規模テログループを、過激派組織アブサヤフを指揮するイスニロン・ハピロンが中東のISISに後援され、ミンダナオテロリストをまとめようとしているという背景がある。ISISは主に若者にネットなどで呼びかけながらリクルートを続けており、主にバシラン、スルー地区などでのリクルート活動が活発化しているという。
講演終盤、ゲレロ司令官は「先日JCCMから、ミンダナオの治安状況に関する軍部の情報を提供してほしいとの打診があり、話し合いの上、ビジネスセクター全体に共有するべき内容であると判断したため、セミナーとして情報を提供することにした。ビジネスセクターの方々はオフィスに直接連絡してくれれば情報共有する」と語り、担当に直接繋がる携帯電話番号を複数開示した。
同時に市民やビジネス関連団体からの情報提供も求めていることを述べ、積極的な情報共有を提案、アクセスブルな軍をアピールした。さらにダバオ市内の安全性は私が責任を持って保証すると述べ、ダバオ市の安全性を強調して、セミナーを締めくくった。
セミナー後の単独インタビューで商工会中尾圭佑会頭は、「外務省危険地域情報では、ダバオは危険度1となっているが、真偽問わず様々な情報がインターネットを中心に錯綜している。せっかくダバオの知名度が上がってきている時なので、きちんと現地の声を届けたいと思う。また、誤情報が出るとせっかくミンダナオに根付きはじめたビジネス・投資のチャンスを潰すことになる。正確な情報を持つ軍部から直接お話を伺える機会を設けられたことは有意義である」と語った。
情報提供:ミンダナオ日本人商工会議所(http://www.jccminda.com/)
ソース:https://davawatch.com/articles/2017/06/23/3485.html
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