◆ 香港3大経済問題と習当局の金融界取り締まり強化
独立シンクタンクの冠域商業および経済研究センターの関焯照主任は習近平氏に対して、現在の香港経済の抱える3大問題を解決しなければならないと呼び掛けた。
「1つ目は、香港政府の政策制定能力の低さ。2つ目は、香港の不動産価格の急騰問題。3つ目は経済構造転換が遅いため、労働力の技術不足」とした。また、関主任によると、新しく行政長官に就任する林鄭月娥氏の政権で、最高諮問機関の行政会議メンバーは、まもなく終了する梁振英政権と同じだという。
いっぽう、中国時事評論家の季達氏は、習主席の香港訪問で、最も注目されているのは今年1月末、香港から本土に連行された富豪・肖建華を含む、金融界大物に対する当局の取り締まり強化だと指摘する。肖に続き、6月上旬に当局に拘束された保険大手安邦集団の呉小暉も、これまで香港の金融市場と密接な関係があったためだ。
香港は国際的金融センターであり、中国当局が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」の融資政策にとって非常に重要な役割を果たす。同時に、中国共産党内の江沢民派閥は、香港の金融市場を利用して、不正な手段で得た莫大な資金を海外に移転してきた。
季氏は、金融界への取り締まりを今後も続けていく習近平国家主席が「香港を視察する」ことと、滞在中に政治・経済界との会談には大きな意味を持つとの認識を示した。
現行政長官の梁振英、中国当局の駐香港連絡弁公室主任の張暁明と、江派閥で全国人民代表大会常務委員会委員長の張徳江の下で、香港はこの5年間に社会的対立が激化した。今月初め、習近平主席の片腕である王岐山氏の元部下で、党中央政策研究室副主任の潘盛洲が、党中央紀律検査委員会駐香港マカオ弁公室紀律検査組の組長に任命された。「習当局が、香港の江派勢力に対して新たな粛清を行うことを示している」と季氏が述べた。
◆ 伝統文化しめす「神韻」香港公演求める声
中国伝統文化を重視する習近平国家主席は2013年3月の第12回全国人民代表大会会議の閉幕式で、中国伝統文化の奥深さに言及し、「伝統文化を習うことで、正しい世界観、人生観と価値観を構築するのに有益だ」と述べた。
習主席は去年、中国文学芸術界連合会の第10回全国代表大会でも、中国伝統文化の重要性を述べ、文芸界に対して道徳と技術の向上を要求した。
米国ニューヨークに本部を置く神韻芸術団(以下、神韻)は、中国伝統文化と芸術の復興と発揚を目指している。過去10年間に世界100カ国以上で巡回公演を行ってきた。各国各都市のトップクラスの劇場での公演は満席御礼となった。
米中国語専門テレビ局新唐人テレビ(国際)有限公司(以下、新唐人)の呉雪児・プロジェクトマネージャーは、中国伝統文化を重視する習近平国家主席に対して、香港で神韻公演の実現に協力することを望んだ。
「神韻は中国伝統文化の復興を目指している。神韻の特徴である専属オーケストラは、東洋の楽器と西洋の楽器を融合したもの。香港は中国の一部で、同時に東と西の文化が交じり合うところでもあり、香港で神韻公演を行うことには特別な意義がある。香港では今、社会全体の雰囲気が重いため、良質な芸術公演は社会に大きなプラス効果をもたらすだろう」と述べた。
今年2月新唐人の香港支社は、香港政府の文化芸術活動を統括する「康楽および文化事務署」に対して、香港各界著名人が署名した神韻芸術団の香港公演開催に関する提議書を提出し、神韻の香港公演の実現を呼び掛けた。
◆ 法輪功愛好者、迫害の主導者を法的に処罰へ
習近平国家主席が香港訪問中、法輪功愛好者も集会などを予定している。
香港法輪佛学会スポークスマンの簡鴻章氏によると、法輪功愛好者は、滞在中の習主席に対して、本土での迫害停止、迫害の主導者らの法的処罰を平和に呼びかけるために、集会、デモ行進などを行うことを決めた。
簡氏は、「中国共産党政権が中国および世界にもたらした災害、江沢民集団が『真・善・忍』の精神を堅持する法輪功愛好者に対する迫害にどう対処するのかは、現政権指導者を含むすべての人が直面しなければならない課題だ」「私たちは、法輪功愛好者への迫害を停止し、江沢民・曽慶紅・梁振英らの法輪功迫害の主導者を法的に処罰し、全面的に中国共産党政権がもたらした災いを清算し、さらに中国5000年伝統文化の復興や道徳の向上を再び呼び掛けていきたい。これが実現すれば、中国、香港ないし全世界に明るい未来をもたらされるだろう」と述べた。
(記者・林怡=香港、翻訳編集・張哲)
ソース:http://www.epochtimes.jp/2017/06/27842.html