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ロシア人は皆寒さに強いのか

 
イルクーツク州ブラーツク市のトラック運転手ワレリー・マリコフさんにとって、2013年1月のある日は普通の日だった。年に数回、列車でブラーツク市からサハ共和国のアルダン市に出稼ぎに行くが、この日もそうだった。列車の中で夜寝る前に、コンパートメントを出て一服した。
 
デッキから戻ろうとドアを開けて、2つのとても重要なことに気づいた。1. 自分が開けようとしていたドアはコンパートメント側のドアではなく、最後尾車両の外に出るドアだった。2. ドアに鍵がかかっていなかった。
 
マリコフさんはそのまま線路に落下。シベリア・タイガのマイナス40度の中に、Tシャツとスリッパ姿で取り残されてしまった。
 
本人の後の話によれば、ここで選択の余地はなかったという。列車を追いかけて走った。死や寒さのことを考えることもなく、7キロを激走し、1時間半後に最寄りの駅にたどり着いた。驚いた駅員は、駅の中にマリコフさんを入れ、暖かい紅茶を数杯飲ませた。翌朝、「自分の人生を見つめなおした」そうだが、マリコフさんは風邪さえ引かなかった。
 
◆ 特別な民族じゃない
 
マリコフさんの体験談は、たくましいロシア人には当たり前の話だと思えるかもしれないが、ロシアでさえ、驚異の物語である。ロシア人は低温に対する自分たちの強さをジョークにするのも好きだが(たとえば、「マイナス42度。ヨーロッパでは交通が混乱、ロシア人は外でアイスクリームを食べている」)、実際には、他の国民(冬や雪を知らない国民を除く)との違いはあまりない。
 
たとえば、ロシアのブログサイト「ライブジャーナル」のユーザーnihon81さんは、ロンドンに暮らしていた頃のイギリス人の同僚の話をしている。その同僚が暮らしていたロンドンの家にはセントラル・ヒーティングがなかったため、自分よりも寒さに強かったのだという。また、冬にコートを着ずに歩く若い日本人にも驚かされたという。 ロシア人よりもずっと寒さに強かったのだ。
 
◆ 暖かい服は必需品

ロシアは確かに、地球上で最も寒い国の一つであり、年間平均気温は1.69度(2016年)である。ロシア科学アカデミー地理学研究所のアレクサンドル・ベリャエフ副所長は、「北部に位置しているからというだけでなく、北極の風をさえぎる山脈もないのがロシア」と説明する。コーカサス山脈はロシアの南端に沿っているし、ウラル山脈は北から南に伸びている。
 
また、ロシアの周辺の海には暖流がない。このようにして、国のほとんどの場所が、凍てつく北極の風に対して開放されている。北半球のいわゆる寒極がシベリアにあるのは驚きではない。ベルホヤンスクは1892年にマイナス67.6度の観測史上最低気温を記録し、オイミャコンは1933年にマイナス67.7度になって記録を更新した。これらの街には今でも人が暮らしている。
 
さて、ロシア人はこのようなひどい気候条件にどう対応しているのだろうか。シベリアの人によれば、簡単なことだという。暖かい服をたくさん用意しておき、秋、春、また夏でさえも着用する。「寒さを感じないのがシベリアっ子ではなくて、暖かい恰好をするのが本当のシベリアっ子」とnihon81さん。
 
ソース:ロシアNOW/https://jp.rbth.com/society/2017/06/20/785267