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【交戦】 ミンダナオ島戒厳令布告1ヶ月 マラウィ市の戦闘続く

この交戦によって国軍発表ではイスラム系武闘派グループの死者276人、国軍及び警察側死者67人となり、市民側の死者26人の計369人に上った。
 
またマラウィ市と近隣地区から脱出した住民は30万人近くになり、『国内難民』として40キロほど離れたイリガン市などに避難したが、食料の不足が問題になっていて、国際赤十字などが支援活動を始めているが深刻さは増している。
このため、社会福祉開発省はこれまでに3億ペソ(約6億6千万円)近くを支援しているが焼け石に水状態で、長引く避難生活のために避難民の健康も悪化し、厚生省高官によると避難民の死者は24人に上っている。
また、マラウィ市内には住民数百人が取り残され、イスラム系武闘派グループの『人質』として扱われている可能性があると見られ、慎重な対応が求められている。
 
国軍筋はイスラム系武闘派グループがマラウィ市内に立て籠もっているのは現在100人前後と見ていて、イスラム教徒の行事『ラマダン=断食月』が終了を迎える6月26日までに制圧して戦闘を収束させると述べている。
しかし6月12日の『フィリピン独立記念日』までに制圧すると述べている経緯があるために、この宣言も危ぶまれている。
国軍はイスラム系武闘派グループの立て籠もる市内家屋に対して空爆を行ったため、戦闘による家屋などの損傷が酷く、そのためマラウィ市のこれら復旧に大統領府は200億ペソ(約444億円)を当てると発表している。
 
戒厳令布告のきっかけとなったといわれるマラウィ市の戦闘では、当初100人程度のイスラム系武闘派グループと見られていたが、その数倍に上る戦闘員が参加していることに国軍の見通しの甘さが指摘されている。
 
これらグループは最初にマラウィ市内で交戦を始めた『マウテ・グループ』にIS(イスラム国)に忠誠を誓うイスラム系武闘派グループが外部から参戦したためで、戒厳令を布いているのも関わらずそのチェックの甘さも問題になっている。

また、交戦が収束へ向かうに連れて、イスラム系武闘派グループがマラウィ市内から近隣地区へ脱出する傾向も見え始め、戦闘がゲリラ化、広域に渡る可能性も国軍筋は認めている。
こういった状況の中で、報復のためにイスラム系武闘派グループの爆弾による無差別攻撃がマニラやセブなどの大都市圏で起きるのではと根拠のない噂が流れている。
 
【写真はミンダナオ島最大の湖 ラナオ湖に臨むマラウィ市の様子】
 
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=413