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なぜロシアでは車載カメラの普及率が高いのか

  
2013年2月15日、チェリャビンスク州に隕石が落下。すぐに大きく報道された。ロシアの自動車運転手の多くが、車載カメラで隕石を捉えており、動画をインターネット上にアップロードした。異なる角度からの動画はどれもよく似ている。火の玉が朝の光の中で華麗に落下し、驚いた目撃者らは黙ってその様子を眺めたり、ののしり言葉を発したり(こちらの方が多い)している。
 
ロシア人の車載カメラ好きに世界の注目が集まったのはこの時だ。外国人は車載カメラによる記録動画の多さに驚き、車載カメラの設置が法律で義務付けられているのだろうかと疑問を持った。
 
そんなことはない。だがとても人気がある。
 
◆ あらゆることを目撃

動画サイト「ユーチューブ」では、「ロシアの車載カメラ」、「ロシアの運転手」などと表示された、とてもおかしくて荒っぽい映像を見ることがある。バスの運転手とケンカした男性がブリーフケースでバスを叩いたり、パトカーが止まった隙に拘束された者がドアを開けて逃げたり(2:37)。逆に、警察がパトカーで、駐車中の車を当て逃げした者の車に突撃したり。自動車事故、爆発、突然現れる野生動物の動画なども、普通にある。
 
ユーザーはこのような動画を見て、あぜんとしているようだ。「ロシアでは、自動車運転手の多くが不死身のごとく運転している」、「ロシアの車載カメラの動画はハリウッド映画よりいい」などといったコメントが、動画の下によく書かれている。ロシアのこういった動画を、ビデオゲームと比べる人は多い。特に、運転手同士のケンカはそうだ。「ロシアって『グランド・セフト・オート』のアクションそのままだね」と、アメリカの番組「ザ・デイリー・ショー」の元司会者は、野球のバットと手おのでケンカする男性2人を見てコメントした。
 
とはいえ、ロシアの道路が暴力に満ちているわけではない。感動的な場面も車載カメラで記録されている。運転手が年老いた女性の道路の横断を手伝ったり、犬と猫の前で車を止めたり、運転手が大変な状況で互いに助け合ったりと。「慎重で法律を守っている運転手は、危険ドライバーより多いことは間違いない」と、車載カメラつきの自動車を所有するアンドレイさん(50)は、ロシアNOWに話す。
 
◆ 自己防衛

車載カメラを装着する主な理由は、誤った解釈を避けるためである。自動車の前で起こることすべてが記録されるため、警察や裁判所は誤った認識をしない。詐欺師が運転手から金をとろうとするため、証拠は重要なのだ。たとえば、歩行者が車にぶつかったことを装うために、ボンネットに飛んでくる場合もある。
 
または、前を走行していた車が突然バックして、事故を誘発する場合もある。こうなると、運転手は自分がぶつけたことになってしまう。相手が悪いことを証明するために、動画が必要になる。
 
「パンツはかずに車に乗っても、車載カメラなしに車には乗るなってね」と、運転者の権利の活動家アレクセイ・ドゾロフ氏は2012年、「ラジオ・リバティー」で話している。車載カメラで大きなお金を失わずに済んだ状況がいくつもあったという。
 
今でも状況はそう変わっているようには見えないと、ロシアで運転手の利益を守る弁護士ヴィクトル・トラヴィン氏は考える。記録動画は100%の確実な証拠であり、すべての運転手に装備を呼びかける。「警察や裁判官は運転手の証言を聞き、嘘をついていると仮定する。だが動画を信用しないわけにはいかない」とロシアNOWに話した。
 
*本記事はロシアに関する人気の検索ワードを集めてそれぞれの問題に答える、「なぜロシアは」シリーズの一つ。
 
ソース:ロシアNOW/https://jp.rbth.com/society/2017/06/15/782812