提訴した下院議員は何れも少数野党に属する議員で、1987年に制定された憲法では戒厳令を布告する場合の要件として『侵略もしくは反乱に当たり、公共の安全を維持するために必要な場合』と定めていて、提訴理由はその要件に当らないとしている。
提訴議員はミンダナオ島マラウィ市で始まった国軍とイスラム武闘派グループとの交戦は限定的で、戒厳令布告の理由に当らず、憲法第7条18項の規定で訴えを起こしている。
同条項は『国民から適正な訴えがあれば、最高裁は戒厳令布告やそれに伴う規制の停止や期間などに対して、事実に基づく審理が出来、提訴から30日以内に判断を出す』となっている。
今回の戒厳令布告については、実際に前線を担う国軍関係者との協議を経ないで、ドゥテルテが独断で決めた経緯が明らかになっていて、軍事に知識のないドゥテルテが強硬手段を取ったことに対しても戒厳令という強硬措置をもてあそんでいるとの批判が集まっている。
また、国軍とイスラム武闘派の交戦は、国軍が認めているようにイスラム国(ISIS)と関係の深いマウテ・グループの最高幹部がマラウィ市内に潜伏し、その逮捕、掃討作戦が始まりであり、戒厳令布告の理由にするには弱いとの指摘もある。
現在、マラウィ市内では散発的に交戦が続いていて、死者は市民を含めて100人をはるかに超える状態で、空軍の誤爆で国軍兵士が多数亡くなるなど緊張状態は続いているが、一番とばっちりを受けているのは市内から逃れた市民となっている。
現在の最高裁の判事構成は長官が前政権のアキノが任命し、リベラル色は強いが時の政権に靡く傾向は避けられず、最高裁がどのような判断を下すか注目される。
>>ソース:https://www.digima-news.com/20170529_18808
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