ムーディーズは、経済成長の鈍化に伴い、今後政府の債務負担が一段と増えて、中国の金融と財政力が悪化するとの見通しから、1989年以降初めて格付けを引き下げた。
米国外国為替取引大手のオアンダ(OANDA)の上級マーケットアナリスト、クレイグ・エーラム(Craig Erlam)氏は新唐人テレビに対して、「中国当局は、経済成長モデルを投資と輸出への依存から、消費主導にと構造改革を行うと示してきた。しかし過去数年間、成長が失速するたびに、中国当局は以前のように景気刺激政策を実施して、投資を拡大させてきた」と指摘した。
エーラム氏は「景気刺激政策で債務規模が一段と増えるため、中国経済には大きな金融リスクがもたらされた」との見解を示した。
また、ムーディーズは、中国の政府直接債務規模の国内総生産(GDP)に占める割合は2018年に40%に拡大し、20年に約45%に達すると予測。
中国政府、非金融企業と家計の債務総規模は昨年末で対GDP比256%に達し、今後も拡大し続けるとの見方を示した。
中国GDP成長率については、将来5年間に5%台まで低下すると、ムーデーズが推測した。原因は今後社会的投資の減少で、資本市場全体が低迷すると同時に、労働人口の減少による生産力の低下などを挙げられた。
ムーディーズが中国国債格付を引き下げたことによって、今後中国企業は海外での融資が難しくなり、また外国資本の中国進出の意欲にも影響がでるとみられる。
いっぽう、同社は中国の格付見通しについて、「信用力の悪化は段階的」として、2016年3月の「ネガティブ」から「安定的」に変更した。
今後、格付大手のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)もムーディーズと同様に、中国の格付けを引き下げるかどうかに注目を集めている。
(翻訳編集・張哲)
ソース:http://www.epochtimes.jp/2017/05/27478.html