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第4次産業革命(インダストリー4.0)がもたらす、ベトナムの労働問題とは? 【後編】

 
調整の必要性
 
情報技術(IT)を例にとると、ITエンジニアの雇用需要は膨大にあるが、供給面はというと量と質の両面で満たされていないという。ITの労働市場では常に労働力が不足しているが、特に外国語に堪能なスキルの高い人材においてはその傾向が顕著である。
 
「ITエンジニアが外国語に堪能であることは非常に重要な要件であるため、多くの外国企業では専門知識よりも英語の熟練度を優先させるよう採用要件を変更しました。」とMai氏は述べた。
またベトナムがアセアン経済共同体(AEC)に正式に加盟したことにより、特に中・高レベルの人材において「頭脳の流出」が加速することになることが想定される。
ITや会計、監査のような分野に長けたスキルの高い人材が、ベトナム外の地域にある企業から良い条件の仕事を受けるようになっている。
 
一方でManpowerGroup Vietnam社の人事マネージャーであるKim Le氏は楽観的な見通しを示しており、「我々は雇用の未来について、必ずしも人と機械のトレードオフではないと信じています。デジタル時代の進展は、政府がより多くの雇用を創出するチャンスでもあるのです。」と述べた。
 
ManpowerGroup社によると、産業技術は労働市場における現在の課題を解決に導く新しいビジネスモデルの出現を容易にし、例えばUber、Lyft、AirbnbやGrabなどの技術ベンチャー企業の創設によって何千もの短期雇用が創出されるなど、非正規雇用経済(gig economy)を生み出している。
 
「良い面を挙げるとすると、人間の知性が新技術の急速な発展と相まって、我々の世界をより豊かなものしてくれるということでしょう。」とLe氏は述べた。
こうしたビジネスチャンスをものにした上でデジタル時代の悪影響を軽減するには、労働者の能力を適切に向上させていくことが不可欠である、とManpowerGroup社は指摘した。
これには新規のトレーニングだけでなく、スキルや知識の追加やアップデートのための再トレーニングなど、継続的な努力や十分な投資、人材育成戦略が必要である。
 
Navigos Search社は、企業の従業員に対するトレーニングポリシーの立案を促進するための法制や、AECにおける労働力移動の促進に関する指針を整備すべきであると提言した。
 
ILOのHuynh氏は、マクロの視点からAPECメンバーが共同研究を行い、知識を共有し、雇用市場の指標を監視していくべきだした。同時に、政策決定者、企業、教育機関間の緊密な協調が必要であると指摘した。
 
>>合わせて読みたい『第4次産業革命(インダストリー4.0)がもたらす、ベトナムの労働問題とは? 【前編】』
 
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_2875.html