これによると政府が期待していた7%前後の成長率を外れる6.4%となった。
この数字は前アキノ政権の最後に当る昨年同期の6.9%と比較しても落ち込んでいて、今回のGDP成長率6.4%はアキノ政権時に記録した2015年第四半期の6.3%以来の数字となっていて、政府がぶち上げている経済政策の効果がないのではと市場から指摘されている。
この指摘に対して、経済官庁高官は政府が目標としている年間成長率6.5~7.5%に収まる数字だと設定自体が幅広い数字を上げて強弁をしている。
また、今回の低い数字について政権交代による政府支出の減少と、2016年5月に行われた選挙支出が原因としているが、2017年第1四半期はドゥテルテ政権が発足して既に半年が過ぎていて、言い訳に過ぎないと批判されている。
今回の数字の内訳だが、製造業が昨年同期の成長率9.1%から6.1%と大幅に減少し、輸出が振るわなくなっている傾向が表れている。
同様にサービス業が7.5%から6.8%に、家計消費も7.1%から5.7%へと減少した。
この家計消費だが、これを大きく支えるフィリピン人海外就労者(OFW)からの送金額はフィリピン中央銀行の公式数字では、第1四半期は69億5300万ドルとなり、前年同期比に比べて7.7%増加し、この部門の見通しは明るいとされている。
また、今年3月には送金額が26億1500万ドルに達し、これは単月としては2016年12月に最高額を記録した25億5900万ドルを抜く過去最高額となった。
一方、農業は4.3%から4.9%と若干の伸びを記録したが、天候に左右される不安定な構造的弱さは解消されていない。
今回の低調であったGDP成長率を他のアセアン諸国の競争国と比較すると、インドネシアとヴェトナムが同率の5.1%、タイが3.3%とフィリピンのGDP成長率が勝っている。
そのため政府は数字を誇示しているがフィリピンの輸出重要国の中国経済の不振、アメリカの保護政策による影響など避けられなく、ドゥテルテ政権が設定している高成長率が今後も維持できるか市場は注視している。
これに対して政権はインフラ投資を中心とした支出増によるGDP成長率を目論んでいるが、中国や日本からの過大な投資と援助を当てにし、目標の成長率は達成できても大手企業やその周辺を潤すだけで、フィリピンの最大課題である『貧困撲滅』は相変わらず掛け声だけに終わるのではと見られている。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news02&config=&command=body&no=323
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