国際通貨基金(IMF)は4月22日世界経済見通しについて、従来の3.4%増から3.5%増に上方修正した。また、米シカゴ・オプション取引所が作り出した、投資家心理を示す「ボラティリティ・インデックス」(VIX)、通称「恐怖指数」が5月8日に、1993年12月27日以来最低水準の9.72ポイントになったことや、昨年末から続く欧米主要株式市場の好調もあって、世界経済が持ち直しているとみられる。
米メディア「CNBC」(9日付)によると、米証券会社チャールズ・シュワブのチーフグローバル投資ストラテジスト、ジェフリー・クライントップ氏は「中国経済の鈍化でもたらされるリスクに警戒すべき」との見解を示した。
財新/マークイットが2日発表した4月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が3月の51.2から低下し、50.3と7カ月ぶりの低水準になった。景気拡大と悪化の境目である50まで、あとわずかのところまで落ち込んでいる。
また、中国当局が8日に発表した4月貿易統計では、輸出は前年同月比8%増、輸入は同11.9%となった。しかし、事前市場関係者が予測した11.3%と18%を下回った。また3月の輸入が16.4%増と輸入の20.3%増からも大幅に低下した。
10日に公表された4月の生産者物価指数(PPI)上昇率は前年比6.4%で、3月の7.6%から鈍化した。一方、4月の消費者物価指数上昇率は(CPI)は前年比1.2%で、3月の0.9%から加速した。
今年始めにみられた中国経済の回復ペースが減速していることを反映した。
クライントップ氏は、中国経済の鈍化が鮮明になると、元安や中国商品のダンピングなど、世界各国経済にマイナスな影響を与えるとの懸念を示した。
また、米金融会社ウェルズ・ファーゴのヘッド・グローバル・マーケット・ストラテジスト、ポール・クリストファー氏は中国当局は、今まで安定を重点に経済政策を行ってきたため、今後安定維持のため経済鈍化を容認していくだろうと分析した。
市場関係者の間では、国内金融リスクに警戒する中国当局が近日、金融セクターへの管理監督を強化し、金融市場での流動性を縮小しているため、資金のひっ迫で企業の債務不履行(デフォルト)の多発の可能性があると不安視している。
中国経済鈍化で需要が大幅に減少するとの観測は、銅の国際価格は5月上旬に19カ月ぶりの安値を付けた。
国内株式市場では、主要株価指数の上海総合は、8日まで5営業日連続下落した。人民元の対ドルでの為替レートは、オンショア市場とオフショア市場の双方で1ドル=6.9元台を上回り、元安ドル高が進行している。
米CNBCは、隣国の北朝鮮が核実験実施の可能性も、中国経済に打撃を与える大きな要因だと指摘した。
(翻訳編集・張哲)