セクハラ・レポートによりカンボジアの繊維産業が分裂
カンボジア繊維産業における、セクシャルハラスメント発生率とそれが及ぼす経済的影響に関する報告書が、産業全体に様々な反応を引き起こしている。
この記事の続きを読む
貧困削減に取り組むNGO「CARE」が先週発表した調査結果によると、カンボジアの繊維産業では女性の3分の1近くが過去12か月間にセクシャルハラスメントを経験しているという。
また、セクシャルハラスメントによる生産性の損失から生じる経済的負担は合計8900万米ドルにも及ぶとCAREの調査結果は示唆している。
カンボジア労働者連合(CLC)のAth Thorn会長はレポートの調査結果を後押しし、GDPの3分の1近くを占める同産業における、こうした問題に政府は取り組む必要があると述べた。
Thorn会長によると、CAREの調査はセクシャルハラスメントに取り組む上でのCLCの経験を反映したものであり、生産性の損失を生ずるという点、及びハラスメントの事例がしばし過小に報告されるという、根強いジェンダー規範によりさらに悪化しているという点が共通しているという。
「女性が経営人の一人からセクシャルハラスメント受け、それを訴えたところ、訴えを受けた男性が、女性は詐欺師であり、問題を引き起こす悪い女性だというレッテルを張ったという事例が5年前に1件ありました。」
「労働者の中には働き続ける者もいますが、誰も助けてくれない、文化的背景から人前に行くのが恥ずかしい、などの理由から悲しみを抱えています。」
今回の調査はカンボジア縫製製造業協会(GMAC)の協力のもと行われている。
しかしながらGMACの事務総長Ken Lou氏は、セクシャルハラスメントの事例は調査結果で示されるほど一般的ではなく、経済的な損失も仮説に過ぎないと異議を唱えている。
「レポートで示されているほどには、発生率は高くないと我々は考えています。」と Lou氏は述べた。
「これは容認できない問題であり、我々ももちろんこの問題に取り組んでいきますが、損失額は仮説に基づいたものであり、我々は必ずしも同意しません。」
「彼らが調査を行うということ自体に問題は感じていませんが、だからと言って調査結果に賛同する必要性は必ずしもありません。」
GMACが独自で行なっている工場の監視プログラムでは、CAREの調査結果として報告された件数よりもセクシャルハラスメントの事例が少なく、他国よりも発生率が比較的低いとLou氏は述べた。
「監視官の多くが女性であるため、セクシャルハラスメントが起こる機会は他の国よりもずっと少ないのです。全く起こらないとは言いませんが、そんなに頻繁に起こるとは思いません。」
また同氏は、女性達がセクシャルハラスメントについて論議する事を居心地悪く感じているのであれば、なぜ自身の経験をCAREの調査者に打ち明けることができるのかという疑問も投じた。
カンボジア労働組合のChoun Momthol会長はまだレポートを読んではいないが、カンボジアでセクシャルハラスメントを明らかにすることは難しいと言い、今回の調査を進める上でCAREが自身の指針を抱いていたのかと疑問を投じている。
「カンボジアでは一般的に、セクシャルハラスメントに関して明らかにするのは難しいのです。CAREが行った調査に関して我々は詳細を知りませんが、彼らにも自分たちの目的のために調査を行う必要性があったはずです。」
CAREのインターナショナルアドバイザーであるAdriana Siddle氏は、セクシャルハラスメントに関しては意識と教育が欠如しており、把握しにくいテーマとなっていると述べた。
「セクシャルハラスメントは人々にとって理解しがたいものであり、カンボジアではまだよく把握されていないということをCAREは理解しています。このことについてCAREでは、職場やコミュニティのトレーニングを通じて取り組んでいます。」
CAREの方針では、セクシャルハラスメントを「人の自尊心を傷つけ、脅かし、感情を害する、不要で、迷惑で、招かざる性的な振る舞い」と定義付けている。
セクシャルハラスメントが産業にもたらす経済的・社会的負担を軽減する、もっと直接的な行動を政府が起こす必要があるとThorn氏は述べた。
「文化的背景により、彼女たちは仕事を失うことを恐れています。」
「女性が生産性を失い、カンボジアの経済や文化にも負担を与えるのは正しいことではなく、政府はこれに答える必要があると思います。」と同氏は述べた。
カンボジアの労働省と女性省はコメントに応じなかった。
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_2853.html
>>あわせて読みたい 『ミャンマーの繊維業界は地方出身の低所得層に人気、女性の地位向上にも貢献』
最新ニュース
-
- 香港
- 香港:渡航シーズン、海外でデング熱などに注意 2022年12月8日
-
- インドネシア
- インドネシア:TOD投資フォーラム 日イの事業者ら覚書 都内 2022年12月6日
-
- 香港
- 香港:小売業総売上高、10月3・9%増 2022年12月2日
この記事の提供会社
中国プラスワン時代に必須! 東南アジア地域アパレル生産情報の決定版
-
- インドネシア
- インドネシア:国内で7店舗オープン ユニクロ
-
- インドネシア
- 首都圏広域で停電 MRT、信号も停止
-
- インドネシア
- ジャカルタの大気汚染が世界最悪に、マスク着用必要なレベル
-
- シンガポール
- シンガポール国民の過半数が「新年度予算案」を支持
-
- その他ヨーロッパ
- なぜ日本では「落とし物」をしても必ず返ってくるのか? 5つの理由