経済産業省の発表によると、製造業の海外生産比率(国内全法人ベース)は25.3%(前年度と比べ+1.0%ポイントの上昇)と4年連続で増加し、過去最高水準となった。業種別にみると、輸送機械(48.8%)、はん用機械(33.8%)、情報通信機械(29.4%)などの海外生産比率が高くなっているという。海外現地生産を拡大させる日本企業が増加している。
その背景には、為替リスク回避の思惑がある。円高が輸出大国である日本企業に与える影響は大きい。為替変動により輸出収益の間に大きな損益差が生まれる。
現在、米国や欧州出のポピュリズムの台頭、北朝鮮や中東などでのリスクの高まりにより世界情勢は不安定化している。その中で、アベノミクスにより2016年3月期まで4年間続いてきた円安局面が反転し、平均為替水準は前期1ドル=120円から108円まで12円も円高に振れた。投資家のリスク回避傾向から円が買われ、現在も1ドル=111円台を推移しており、今後も円高傾向が予測されている。円高傾向が続けば、輸出企業は大打撃を受ける。
その中で、為替変動リスクを受けづらい、海外現地生産に日本企業の商機がかくだしている。また、東南アジアにおいては日本よりも安価なコストで生産することが可能な上、通商による為替変動リスクもない。インバウンド市場の急拡大により、日本製品の認知・人気が海外で高まる中、今後も為替リスク回避のための日本企業の現地生産拡大が予測される。
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