ブラジルの検察・裁判所は昨年末から贈賄側企業の幹部・元幹部との司法取引などで続々と新証言を得てきた。そんな中、元オデブレヒト(オーデブレヒ)社贈賄担当幹部からの証言内容が発表され、ブラジル政界に激震が走った。
グローボ系ニュースサイト「G1」が4月15日づけで伝えたところによると、オデブレヒト社には贈賄専門の部署があり、そこで2006年から2014年までに支払われた賄賂は33億7000万ドル(約3630億円)に上るという。
この情報は、同社内で違法な贈賄により有利な取引を図る目的で組成され「常設運営部門」と呼ばれた部署の元責任者、イベルト・マスカレーニャス氏の証言として連邦総合検察局が発表した。
ラヴァ・ジャット作戦の捜査官によると、イベルト氏は、オデブレヒト(オーデブレヒ)・グループの社長だったマルセロ・オーデブレヒ氏に贈賄の額は度を越している、会社の形に影響するレベルになっている、と懸念を伝えていたという。
贈賄額は2012年、2013年にそれぞれ7億3000万ドル(約803億円)に達していた。
検察官は聴取の際、2014年の贈賄額が4億5000万ドル(約495億円)に下がった理由を質問したところ、イベルト氏はこれ以上は行き過ぎで会社にとって自殺行為だったと述べているという。
しかし、オデブレヒト社はマルセロ氏の指示のもと、ラヴァ・ジャット作戦初期の2015年まで贈賄のための活動を続けた。
別の贈賄部門の担当者は、ブラジル国内外を問わず多岐にわたり、大口の相手にはタックスヘイブン国のオフショアマーケットを絡めたスキームを使ってお金を流したと証言している。
小口の献金は主に国内で、現金を小包で送ったり、スーツケースに入れて従業員から政治家側の仲介者に渡すなどしていた。贈賄額が多額になるにつれ、現金を運ぶためのスタッフを増やさざるを得なくなったという。
イベルト氏はまた、贈賄のためにマルセロ氏直轄の資金担当者が口座の管理・送金を専属で行っていたという。
複数の元オデブレヒト社幹部からの証言が発表されて以降、収賄側の大物政治家実名と推定収賄額が取りざたされているが、収賄容疑者には現職閣僚8名も含まれている。
(文/原田 侑、写真/Cicero Rodrigues/World Economic Forum)
写真は2015年、経済フォーラムに出席したマルセロ・オーデブレヒ氏
ソース:http://megabrasil.jp/20170416_35089/
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