また、ウェルスフロント(Wealthfront)社やベターメント(Betterment)社のような、独自のアルゴリズムを使用したポートフォリオ管理サービスを提供する企業も「ロボ・アドバイザー」を備えている。
PwCの金融技術部門のトップであるディーン・ニコラカキス氏は、「金融サービスを見渡すと、より複雑なビジネスはオートメーション化される機会が最も多い」と語った。
クレジットカードや預金口座などのシンプルな商品は、すでにコンピュータ化されている。 しかし、デリバティブ、住宅ローン、貿易金融などのより複雑な製品の自動化は、手作業を必要とする複雑な契約になる。
いっぽう、マシンがこれらの製品の複雑さをどのように処理するかを学んでいけば、人間の仕事を越える可能性があるとニコラカキス氏は述べる。
◆ オートメーション化「機械代行ではなく、人の仕事支援」
過去5〜10年間で人工知能(AI)の性能向上により、機械はより洗練された仕事や活動ができるようになった。ロボット主導の未来について懸念されるのは、この「進歩」だ。顧客の意志の分析や提案までオートメーション化できるようなった。これは10年前は想像もつかなかったことだ。
機械は、例えば、ショッピングパターンに基づいて顧客の要求に合わせた「おススメ」の製品を差し出すことができる。 また、場合によっては、膨大なデータを解析し、人間には不可能な結論を導くことさえできる。
しかし、これらのデータ処理の性能向上は、単に人間から引き継ぐのではなく、購入支援という形だということに注目したい。マッキンゼー顧問のメハディ・ミレマディ(Mehdi Miremadi) 氏は 「多くの場合、人々はオートメーション化について、『人間の作業を置き換える』と考える。しかし、実際は人間の仕事内容の向上や改善するということ」と指摘する。
たとえば、ツェストファイナンス(ZestFinance)社は、金融機関が企業への与信限度を決めるのを手助けするオンラインサービスを提供する企業だ。ミレマディ氏によれば、機械学習・アルゴリズムを使用することで、クレジットスコアリング(与信の可否を示す信用度)を40%以上も正確な計測ができるという。
「金融機関は何十年にもわたって、クレジットスコアリングという概念全体を完璧にしようとしてきた。 40%は急激な変化だ」とミレマディ氏は付け加える。
◆ 新たな仕事の創出
オートメーション化の歴史のなかで破壊または置き換えられた職業があり、逆に新たな仕事が誕生してきたことから、今後の雇用の予測も単純な計算式ではあてはめられない。
わかりやすい例は組立ラインだと、ミレマディ氏は言う。なぜなら、一人当たりのロボット、機械導入の数が多い国が、必ずしも失業率が低いわけではないからだ。マッキンゼーの調査でも、ブルーカラーの仕事が自動化される可能性が高いという証拠はないとも指摘している。
産業革命から生まれた新時代「オートメーション化」は確かに職業を破壊したが、新しい技術のニーズも生まれた。機械を導入した現場での作業、深い思考と分析、データ処理などの職種の数は、今後も増加することが見込まれている。
さらに、企業は、これらの機械を稼動するために、より多くの技術者と専門家が必要になる。 ロボットが手掛けることができない分野には、ひきつづき、人間の経験と専門知識が必要だ。
(おわり)
(英文大紀元エミール・エーキャン/翻訳編集・佐渡 道世)
ソース:http://www.epochtimes.jp/2017/04/27115.html