2016年末に、アメリカでの原子力事業が巨額の損失となることが発覚した東芝は、2017年3月期の決算において、国内の製造業においては史上最大とされる1兆100億円の赤字となり、6,200億円の債務超過を記録。
この危機を脱するべく、1987年に世界で初めて開発したNAND型フラッシュメモリで知られる半導体メモリ事業を、東芝本体から分離させて「東芝メモリ」を設立。
そこで生まれた新株を約1.5〜2兆円で売却することで、状況を好転させる計画だった。
しかし、アップル、アマゾン、グーグルといったグローバル企業と共に、東芝の半導体メモリ事業の買収に名乗りを挙げていた、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(以下TSMC)が応札を断念。
東芝のフラッシュメモリ事業の入札競争から撤退する構えを見せていることが判明した。
東芝の半導体事業の価値は少なく見積もっても約2兆円とされている。
同じ台湾の有力企業である鴻海(ホンハイ)精密工業が共同買収を持ちかけたとされていたとされる「TSMC」だが、今回の入札不参加の表明が、今後、東芝が描く復活のシナリオにどのような影響を与えるのかが注目される。
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