ステータスより実用性、減速する中国自動車市場
「二桁成長」を豪語する中国経済だが、国内自動車市場は減速している。マッキンゼーの新しい調査によると、世界最大といわれる中国の自動車市場は2020年まで毎年5%の成長にとどまるという。
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弱い経済は自動車販売を鈍化させる。変化する消費者の態度やマクロ経済の逆風は、中国の自動車市場の成長を遅らせている。2010年から2015年にかけて、中国の自動車販売台数は年に12%以上増加していた。
自動車メーカー間の競争激化により、中国の自動車価格は過去10年間で毎年4%低下した。広範囲な値下げにもかかわらず、毎月の新車販売は、経済減速にしたがって、2015年の最初の3四半期に急激に減少した。
一方、自動車メーカーは、2015年10月から2016年末まで、車両購入に対する減税の恩恵を受けてきた。中国政府は、1.6リッター以下のエンジン搭載車両の購入税を5%に引き下げ、自動車販売を促進させようとした。
減税措置により、2015年の最終四半期に月次売上高が回復し、今年の最初の月までこの傾向は続いた。ブルームバーグの調査レポートが伝える、中国国内の自動車販売台数は、2016年の最初の4カ月は6.7%上昇した。
しかし、専門家は、減税などの短期的な政策は需要を一時的に活性化させるが、次回の購入に繋がらないと予想している。また、政策の期限が切れた後、2017年の景気後退に影響する。
この減速を受けてか、2017年、中国当局は少なくともガソリン車やディーゼル車の生産を今後、抑制する方向を固めた。3月28日に国家発展計画委員会は、同燃料を使う自動車生産への新規投資の許可を禁じ、既存の自動車企業が同燃料の生産拡大も厳格に規制するとの意見書をまとめた。
中国は世界最大の自動車販売市場とされる。中国汽車工業協会によると、2016年には2811.9万台が生産され、2802.8万台が販売された。自動車産業は過去10年間にわたり中国経済にとって重要な原動力だった。中国の国内総生産 (GDP)の10%を担い、多額の税収、雇用をもたらした。
2015年中頃以降の景気減速と2013年に始まった政府の腐敗防止キャンペーンは、中国の消費者の態度を変えた。
マッキンゼーは、消費者行動の変化をよりよく理解するために、2016年3月に3500人以上の中国人を対象に調査を実施。
1つの結論として、中国の自動車購入者(購入予定者)はこれまで以上に現実主義になっていたことがわかった。調査対象の約半数は、車をステータスシンボルとしてではなく、必需品とみなしていた。消費者は、中国指導部の反腐敗キャンペーンの対象となる恐れがあるため、高級車を買うことをひかえていることが明らかになった。
就任後、習近平国家主席は、賄賂や公的資金の不正使用などの犯罪に対して、共産党のあらゆるレベルの役人と政府官僚を対象とした政治腐敗防止キャンペーンを開始した。
また、中国では自動車のオンラインショッピングが増加傾向にあり、デジタルチャネルの改善に合わせて、この勢いは加速する可能性が高いとの報告もある。
新しい車を買う代わりに、消費者は中古車を選ぶ傾向がある。新車の大幅な値引きにもかかわらず、調査対象の消費者の約半数は、中古車が最後の購入車両だったと答えた。
リース、レンタル、その他のカーシェアリングサービスもますます普及している。これらの新トレンドは、新車市場に影響を与え、自動車メーカーの代替ビジネスを創出するだろう。
例えばダイムラーは、中国の4大都市にカーシェアリングサービス「Car2Share」を導入した。他の海外自動車メーカーも、新しいモビリティサービス用の車両モデルを開発するとみられる。
マッキンゼーは次のように伝えた。「自動車メーカー、自動車ディーラー、サービスプロバイダーにとって、変化の激しいニーズを満たすことは、ますます「実用的なマイカー所有者」のいる国にとって成功の鍵となるだろう」。
(英文大紀元エミール・エーキャン/翻訳編集・佐渡 道世)
ソース:http://www.epochtimes.jp/2017/04/27089.html
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