債務危機が続くギリシャは、7月に約70億ユーロの債務返済期限を迎えるため、総額860億ユーロに上る第3次支援に基づく追加融資を必要としている。
しかし、債権団が第1、2次を含む支援の条件として求めている財政再建の進展状況に関する第2次審査をパスしなければならない。昨年半ばに始まった同審査が長引き、追加融資が見送られている。
問題となっているのは、基礎的財政収支(プライマリーバランス)を18年までに国内総生産(GDP)比3.5%の黒字にするという目標を達成するために必要な追加の財政改革。
ギリシャは今回の財務相会合で、2019、20年にそれぞれGDP比1%に相当する財政改善策を実施することを受け入れた。
19年には年金削減、20年には増税によって実施する。
ギリシャは2月、EUによる追加融資を取り付けるため、財政再建に向けた追加の構造改革を実施することに同意した。しかし、具体案をめぐる債権団との協議が難航し、追加融資の実施が見送られ、デフォルト(債務不履行)に陥る危機が再燃している。
今回の協議では、すでに厳しい財政緊縮策を実施してきたとして追加の改革を渋るギリシャに配慮し、追加措置を即時実施ではなく、第3次支援終了後の2019年1月から実施することや、ギリシャが財政改善を前倒しで実現した場合は、余剰資金を子供の貧困対策などに投じることを認めるという妥協案をまとめ、大筋合意にこぎ着けた。ギリシャ政府は追加改革を議会の承認を経て法制化する。
ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長(オランダ財務相)は記者会見で、追加の財政改革の「規模、時期、優先順位で合意できた」とコメント。追加融資実施の最終合意に向けた「大きな問題が解決した」と前進を強調した。
債権団は近日中に査察団をギリシャに派遣し、財政改革の詳細を詰め、事務レベルでの最終合意を目指す。
>>あわせて読みたい 『ギリシャ金融支援めぐる協議が妥結、ユーロ圏が追加融資決定』