鴻海・シャープ出資のSDP、2016年は大幅赤字、立て直しのカギは米国
日刊工業新聞によると、台湾・鴻海精密工業と子会社のシャープが出資する大型液晶パネル製造会社である堺ディスプレイプロダクト(SDP)は、2016年12月期決算の当期損益が592億円の赤字(前期は43億円の黒字)に転落した。
倒産危機を鴻海に買収されるという手段で乗り切ったシャープだが、今後の世界戦略のカギとなるのは「米国との関係」で間違いなさそうだ。※1
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大型の有機ELパネルの需要は世界でも高まっているものの、ライバルの台頭による価格の下落がSDPに響いている。韓国LG電子製品や液晶テレビに比べるとSDPの価格は高価であり、販売に苦戦している。技術力で勝負を仕掛けたものの、価格差で販売力が劣った。
SDPは今後、中国や米国で事業を拡大させていく。中国では中国の広州市に1兆円規模の投資で世界最大級のパネル工場新設することを発表している。そして、米国でも大型のパネル工場を新設する噂もある。鴻海・シャープがパネル市場で生き残っていくために、世界のパネル市場の大半を占める中国と米国での戦略が重要になってくる。
中国での大型パネル工場の新設は「アメリカ第1主義」を掲げる米トランプ氏にとってはあまりいいニュースではない。中国生産のパネルの米国輸出には、貿易赤字の改善を優先課題として掲げる同国から関税をかけられるリスクもある。そうなると、米国で工場を新設し、雇用を生み出すことが良好な関係維持に必要となってくる。しかし、中国での工場新設は米国のみならず、アジア地域や欧州への輸出拡大を予期させる。
いずれにしても、カギを握るのは無視できない米国の巨大市場の存在だ。2016年は大幅な赤字に転落した同社だが、2017年の動きから目が離せない。
※1(参照 http://newswitch.jp/p/8540 / 『日刊工業新聞』2017年4月3日 「鴻海・シャープ連合、液晶パネル合弁で約600億円の赤字」)
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