国民からは外交政策を進める前に「物価を下げろ」との声も上がっている。昨年、米国からの経済制裁が解除されたものの、2016年は赤字、さらにトランプ米大統領の誕生により今後の米国貿易には不安が高まる。経済成長してきたとは言え、未だ貧富の差は残る同国内では物価の上昇に苦しむ国民は少なくない。
また、かねてからの問題であった少数民族との対立が加熱している。就任当初は国軍と少数民族の対立を停戦させる意向を示していたが、国軍を支援する姿勢を見せ始めている。また、今年2月にはミャンマー与党、国民民主連盟(NLD)の法律顧問でイスラム教徒のコー・ニー氏が殺害された。同国内で、多数派仏教徒の反発が高まっている。中国国境付近での対立激化は、経済成長に歯止めをかける。最優先解決課題の1つであるが、就任から解決の目処がいまだ立っていない。
国内では、4月1日にスー・チー氏就任以来初となる国政選挙を控えるがその動向に注目が集まる。スー・チー氏就任以来、ミャンマーの経済発展への期待から、三菱商事や丸紅、住友商事などが共同で開発を進めるティラワ工業団地への日本企業の投資が拡大してきた。しかし、物価上昇や治安悪化などの国内問題が悪化すれば日本企業が受ける影響は少なくない。更なる日本企業の進出のため、スー・チー氏の今後の政策に期待が高まる。
>>>合わせて読みたい『ミャンマー進出企業にも影響、スー・チー氏に求められる国内問題の解決』