2017年3月21日

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『ドゥテルテ大統領は弾劾に値する』と下院議員が申し立て

『ドゥテルテ大統領は弾劾に値する』と下院議員が申し立て

3月16日、フィリピンの下院議員が、ドゥテルテ大統領は『弾劾に値する』として、申立書を下院に提出した。

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フィリピンの下院議員の定数は297人で、その内訳は各地域の小選挙区選出238人、政党リストによる比例選出の59名になっている。
小選挙区制は政治を家業としている地方のボス一族がほとんどを独占しているために、その弊害をなくすために全国区制の政党リスト枠を作っている。
これら政党は何れも小政党であり、そのため、政治的には右から左までの政党が混在している。
 
その政党リスト制で選出された下院議員の1人が、3月16日、ドゥテルテ大統領は『弾劾に値する』として、申立書を下院に提出した。
 
申し立ては…
① 法的手続きを踏まずに違法薬物関与者を就任以来8000人を殺害を指示。
② ダヴァオ市長時代に処刑団を組織し、多数の殺害を指示し、本人も殺害に加わったことを告白している。
③ 同市長時代に1万1千人余りの架空の職員を雇い、その給与を流用していた。
④ 20億ペソに達する不正蓄財を複数の口座に隠し持っている。などが挙げられ、大統領として贈収賄などの汚職を行い、憲法に違反していると批判した。
 
今回の弾劾はドゥテルテ大統領が就任して9ヶ月に満たない時点で起き、初めてのケースとなる。
 
これに対して大統領側は『弾劾の根拠はない』と一蹴し、また、今回の弾劾申し立てについて、野党自由党所属のロブレド副大統領がドゥテルテ大統領の違法薬物関与者殺害政策を批判する動画声明を国連に発表した翌日とあって、『大統領を追い落とそうとしている一派の画策、仕業』と非難を加えている。
 
こういった動きに対して、先にでっち上げの疑いの強い違法薬物関与容疑で逮捕、拘置中の反ドゥテルテの急先鋒、デ・リマ上院議員に対して欧州議会が『釈放』を求める声明を採択するなど、国際社会のドゥテルテを見る目は厳しさを増している。
 
ドゥテルテは華々しく登場し超法規的な違法薬物関与者殺人政策で人気を取っていたが、その他の政策には政策と呼べるほどのものやあっても前アキノ政権の踏襲ばかりで、新味、成果は乏しく、しかも中国の援助欲しさに中国の南シナ海での覇権、膨張を容認するなど国民の間に失望感も徐々に広がっている。
 
なお、弾劾申し立ての開始には下院議員の3分の1以上の賛成が必要で、議長と圧倒的な数を握っているドゥテルテ与党は、実現の可能性はないと見ている。
 
しかしながら、政治の流れはいつ変わるか予測しがたく、あれほど盤石と見られていたエストラダ元大統領が不正蓄財で弾劾裁判にかけられ、在任中の2001年1月に、評決が出る前に自ら身を引き退陣した例もあり、予断は許さない。
 
【写真はフィリピン下院議場』
 
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=407
 
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