インドネシアのAdidasは労働者の30%を削減予定であることを発表しており、またカンボジアのHung Wahは裁断・縫製段階の全手作業労働者を削減している。
ベトナムでは自動の裁断・縫製技術が2015年以降導入されている。自動裁断機1台で労働者15名分の働きをし、投資資金は18ヶ月で回収可能である。
2016年に行われたアメリカの調査によると、3名の労働者を自動縫製機械1台に切り替えた企業は、5年間で18万米ドルの経費を削減できるという。自動技術の価格低下に伴い、自動縫製機械は2020年までに手作業労働者の4倍コストが低くなることが予想されている。
しかしながら、著名なエコノミストであるPhan Minh Ngoc博士は、繊維・衣料・履物産業の様な労働集約型産業における自動化は避けることのできない歓迎すべき傾向ではあるが、大きな脅威にはならないと見込んでいる。
2014年、ベトナムの人口は9070万人であったが、2009年~2014年の期間の平均人口増加率は1.06%と、過去35年間で最低レベルであった。
この数字は近隣諸国の年間平均人口増加率1.3%と比べても低い。
出生率の低下と平均寿命の延伸に伴い、ベトナムでは若年労働者人口の比率がまだ高いものの、65歳以上の人口比率が急速に上がりつつある高齢期に達したといえる。
人口の高齢化は労働者人口の逓減につながり、賃金に対する圧力となる。
賃金は、経済成長率や生産力よりも急速に上昇することが見込まれている。
実際、ここ数年でこの傾向はすでに表面化しており、CIEMのレポートによると、近年におけるベトナムの実質賃金は年間8%上昇しており、GDP成長率や生産性(4.2%)よりも高くなっている。
この様な状況の中、労働集約型の作業を自動化し、労働者をロボットに切り替えることは労働力不足に取り組む上で最も効果的な方法となるといえる。
原則として、自動化に伴いスキルのない労働者の多くが職を失うことになる。
しかしながらNgoc博士が考えるところによれば、技術労働者に対する需要が高まり、労働者達には新たなチャンスが生まれることになるという。
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ソース:http://apparelresource.asia/news/item_2789.html