EU崩壊の引き金を引くのは、オランダ?
2017年、欧州主要各国で大型選挙が相次ぐ中で、結果次第でその後の仏独などの選挙にも大きな影響を与えると、注目を集めたオランダ下院選。ポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭を抑え、ルッテ首相率いる自由民主党が第1頭の座を守った。しかし、議席数は大きく減少し、極右・自由党が後ろに迫ってきている。欧州連合(EU)崩壊という「最悪のシナリオ」への引き金をオランダが引きかねない。
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ルッテ首相は15日夜「勝利宣言」をした。ドイツのメルケル首相や仏のエロー外相も祝福の声を上げた。一時では世論調査でトップだった自由党は議席を12から20へ伸ばし、第2勢力となったものの、33議席を獲得した第1党・自由民主党には届かなかった。トランプ政権や英国のEU離脱に後押しされポピュリズムが台頭する中、ひとまずの安堵感がもたらされた。
しかし、実際は自由民主党の議席数は40から33に後退。連立与党を組む中道左派の労働党は35から9に議席が大きく落ち込んだ。新興ポピュリズム政党も議席を獲得しており、ポピュリズムが衰退しているとは言い切れない。その背景には国民の「移民・難民に対する不満」や「ルッテ首相への不満」がある。
欧州各国で広がる「移民・難民に対する不満」。シリアなどの中東情勢が依然として不安である中で、イスラム教を語るテロ組織・イスラム国(ISIS)によるテロが欧州各国で相次ぎ、国民の各国でポピュリズムが台頭している。
その中で、顕著となる国民の様々な不満。移民難民問題だけでなく、オランダではルッテ首相の公約にない福祉カットなどにより一部からは不満の声が上がっている。そのような不満感情を煽っている極右政権が各国で誕生している。ポーランドやハンガリーではすでに極右政権が誕生しているのである。
各国でポピュリズム政権が誕生すれば、EU崩壊という「最悪のシナリオ」を迎えかねない。そして、その引き金を引くのがオランダになるかもしれない。今年に選挙が行われるオランダ・フランス・ドイツの中でオランダの極右政権が1番台頭している。5月に選挙を控えるフランスでもルペン氏が躍進してきており、仮にオランダで極右政権が誕生すればフランスもポピュリズムの「ドミノ倒し」が起こりかねない。フランスで極右政権が誕生し、ルペン氏が掲げるEU離脱が実現すれば、もはやEUに求心力は残らない。そうなるとドイツでも極右政権が誕生し、世界は保護主義に向かってしまう。
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