同市では粒子状物質(PM10)と二酸化窒素(NO2)の欧州連合(EU)濃度基準を達成できない状態が続き速やかな是正が義務づけられているためで、最新の排ガス基準である「ユーロ6」に対応していない車両は配達用を除き走行できる道路を制限する。ドイツでは80の都市で濃度基準違反が続いており、他の都市が追従するとディーゼル車の需要は大きく落ち込む恐れがある。
EUは2008年採択の「環境大気質に関する新指令」で、NO2やPM10、二酸化硫黄(SO2)、一酸化炭素(CO)など、人体に悪影響をもたらす大気汚染物質の制限値を設定し、各国当局に順守を義務づけている。このうち車両などが主な排出源であるNO2に関しては、2010年1月が達成期限となっていた。
シュツットガルト市当局は市内乗り入れの抑制を市民に呼びかけるなど対策を取ってきたものの、十分な効果が出ておらず、昨年はPM10の許容上限を順守できなかった日が63日に達した。今年もすでに31日に上っている。
道路交通で排出されるNO2に占めるディーゼル乗用車の割合は67%と全体の3分の2を占めこともあり、州政府は有害物質の排出量が多い日にユーロ5以下のディーゼル乗用車がシュツットガルト市内の特定の道路を走行することを禁止する。
連邦陸運局(KBA)によると、ドイツで登録されているディーゼル乗用車は昨年1月1日時点で計1,453万台だった(下のグラフ参照)。このうちユーロ6に対応しているのは139万台と10%未満にとどまる。このため、シュツットガルトのディーゼル車走行規制が他の都市にも広がると、ユーロ5以下のディーゼル車は半ば“粗大ごみ”化し、ディーラーの下取り価格が急落する恐れがある。また、ユーロ6に対応したディーゼル車であっても将来の規制強化を懸念して買い控えの動きが広がる可能性がある。
ディーゼル車の走行規制論議が活発化していることを受けて、ドイツの新車市場ではすでにディーゼル車のシェアが低下しており、1月の新車登録台数に占める割合は45.1%と、前年同月の48.7%から3.6ポイント低下した。独立系自動車販売業界団体BVfKによると、ディーゼル車の価格は現在、10~20%押し下げられているという。
環境保護団体グリーンピースの委託で世論調査機関エムニドが実施した消費者アンケート調査では、有害物質の排出量が多いディーゼル車の市内走行制限を支持するとの回答が61%に達し、反対の35%を大きく上回った。
ソース:http://fbc.de/sc/sc39350/
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