また需要の大分部分が、ベトナム産の中国向け紡績糸を無関税とする、アセアン-中国間の自由貿易協定によって生じている。
もし中国の紡績工場が未加工綿をアメリカから直接輸入したとすれば、関税割当枠の40%の税金を支払う必要があるが、紡績糸メーカーが紡績工場をベトナムに移転することにより、支払い税額を削減することができるのである。
ベトナム紡績工場では海外向けが綿輸出の2分の1から3分の2を占めていると推定されており、最も利益率の高い部分はさらなる加工に向け中国の紡績工場に輸出されている。
ベトナムにおける綿糸紡績分野の成長の要因は、2010年に施行されたアセアン-中国自由貿易協定が迅速に実施されたところにあると言われている。
協定の履行により、ベトナムやその他の東南アジアアセアン加盟国からの中国に向けた紡績輸送に課せられる関税はゼロとなった。
このため、インドネシアなどのアセアン加盟国では対中国紡績糸輸出高が2010年以降上昇しているが、ウズベキスタンや韓国などの主な非アセアン国では同時期輸出が減少している。
ベトナムのアメリカ以外の主要な輸入元としては、インド、ブラジル、オーストラリア、コートジボアールが挙げられており、5か国合計で東南アジア諸国の綿輸入の70-80%をしめている。
一方で、衣料製品生産の高まるニーズに対応するため、ベトナムからの紡績糸輸入を減らし、中国が自国での綿生産に踏み切るかもしれないという懸念もある。
しかしながら、中国では農村部から都市部に移動する人民が年々増加しており、綿の生産に十分な労働力を賄うことは難しいと予測されている。
現在、ベトナム産の紡績糸(綿及びその他)の65%は中国、トルコ、そして韓国に輸出されている。紡績糸の輸出量は2015年に12%上昇しており、合計96万1777トンとなっているが、その内49万8100トンが中国に輸出されている。(中国への輸出量は前年比26%増)
2015年〜2016年は2014年〜2015年から25%増となる1億1700万トン(537万梱)になると予測されている。
紡績や染織などの製造過程を向上させる投資は国内外から集まっており、ベトナムにおける綿糸紡績産業の展望は明るい。
またEU、韓国、ユーラシアなど、ベトナムは幾つもの自由貿易協定に参加しており、紡績業にとって多くのチャンスを作り出している。
農村部での綿栽培量が減少しており、糸製造の多くを輸入に依存しているものの、自由貿易協定の現況を鑑みれば、ベトナムの世界における綿糸紡績業は安定しており、長期的視点ではほとんど問題がないとみられているのである。
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_2757.html