世界貿易均衡の不安にWTOが動く、「貿易円滑化協定」で輸出拡大
世界貿易機関(WTO)に加盟する国や地域の間で、通関業務を迅速化する「貿易円滑化協定」(TFA)が22日、発効する見通しになった。米トランプ政権の保護主義や、英国の欧州連合(EU)離脱交渉、さらには「ポピュリズム」の台頭により、EU自体の先行きに懸念により世界貿易均衡に不安がある中、WTOが多国間企業の輸出拡大を促す。
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WTOに加盟する164カ国・地域のうち、108カ国・地域間で適用される見通しだ。TFAは、輸出入手続きの窓口を単一化して、電子化を推進する。それにより、通関業務をより迅速に進めコスト削減をはかるのが目的である。その結果、貿易のコストが約15%減り、輸出が増えることで「1兆ドル(約113兆円)」の経済効果を期待する試算もある。
世界貿易には今後しばらく、不透明感がある。米国トランプ氏は、就任直後に環太平洋連携協定(TPP)からの永久離脱や、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しを促した。さらには、自国の貿易赤字を最優先解決課題とし、同国の貿易赤字の大半を占める中国や日本、ドイツとの間で貿易改善を図っている。
さらには、英国のEU離脱交渉や、欧州各国の間で「ポピュリズム」が台頭し、EUの存続にも不透明感がある。もし、EU崩壊となれば世界の貿易均衡は大きく崩れることとなる。
国家間で先行き不透明感が残る中、WTOはいち早く対応に動いた。保護主義国家が誕生すれば、世界の貿易均衡のみならず、世界の経済均衡は崩れてしまう。そして、特に新興国などは大きな影響を受ける。
その中で、WTOは通関における先進国の技術を新興国にも導入することで、多国間の貿易交渉で商流を活発にし、貿易均衡を保つ狙いがある。
>>>合わせて読みたい『EUは崩壊?世界で台頭する「ポピュリズム」が日本企業に与える影響は』
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