いくつもの主要ブランドがミャンマーの低コスト工場に生産を移転しているが、New Look、Sports DirectのLonsdaleブランド、そしてH&Mは、児童労働が行われている工場を使用していることが判明している。労働者達が捜査官に語ったところによると、子供達は法定最低賃金の半分に過ぎない、一時間あたり最少13ペンス(約18円)の賃金しか受け取っていないという。
メジャーブランドに供給する工場での児童の使用は、労働コストの最小化を追うブランド達の「底辺への競争」の結果であると労働権の活動家達は言う。
オランダに籍を置く、多国籍企業に関する研究センター(オランダ語のイニシャルから「Somo」として知られる)では国際ブランドに供給する12の工場で400名の労働者にインタビューを実施し、Observer紙とともにレポートをまとめた。
「ブランド側は児童労働に関するメッセージを受けとっていると我々は考えていたのですが、本調査により労働コスト削減に対する取り組みにはリスクがあることがわかりました。」と研究者である Pauline Overeem氏は語った。「ミャンマーでの西洋ブランドの衣料品生産のための児童使用の蔓延は憂慮すべきものであり、我々は、児童が必要な教育を受けれるよう全ての企業が責任を持つように求めます。」
ここ数年、ブランド側も主要サプライヤーの工場における児童労働を排除する事にいくぶんかは成功したが、中国等での賃金上昇により、14歳以上の児童を1日4時間まで法的に雇用できるミャンマーなどの、より安い市場に生産拠点の移行を進めている。
ミャンマーにおける法定最低賃金は1日8時間労働で3600チャットであり、時間給に換算すると26ペンス(約36円)となる。調査対象となったすべての工場では、労働者たちが週に6日間勤務している。労働関連のNGOは、最低限の生活水準を満たすには最低賃金を少なくとも1日6000チャットとする必要があるという。
調査を行った全ての工場で18歳以下の労働者を雇用していた。LonsdaleとNew Loookに供給する工場では複数の労働者が14歳で仕事を始めたと陳述している。
New Lookと同じ工場から調達しているドイツのブランドでは、工場において児童雇用の証拠も含めた「違法行為」があったと報告している。調査員によると、その工場では後に18歳以下の労働者を全員解雇している。
調査員に年齢を聞かれた労働者の一人は、「本当の年齢を知りたいのですか?それとも工場での私の年齢ですか?」と回答したという。また他工場の労働者は調査員に対し、「バイヤーの工場訪問時、児童労働者はその日仕事に来るなと言われます。」と語っている。
H&Mと無印良品に供給する工場には15歳以下の労働者が複数いるとも報告されている。H&Mは、以前14歳の労働者を2名発見したものの、11月時点の調査では14歳以下のものはいなかったと述べている。
また調査員は、Sports Direct、Henri Lloyd、New Look、H&M、無印良品、Pierre Cardin、Karrimor(Sports Directが所有)に供給する工場では最低賃金額に満たない賃金しか支払われていないことを発見している。
H&M、無印良品、Pierre Cardin、Karrimorに供給する工場での最少賃金は1時間あたり13ペンスのみであった。こうした労働者たちの日当は1.06英ポンドである。ミャンマーの労働法では、新しい労働者に対し安い賃金を支払うことが認められている。
労働者たちは、その様な低い賃金で暮らすことは難しいという。Lonsdaleに供給する工場で働いていたThiriとYandaは、無断居住地区にあるその場しのぎの小屋で電気や水道もなしに暮らすのがやっとの事であったと語った。
「ここに住むことのメリットは、家賃にお金を払わなくて良いのでなんとかやりくりできることです。」とThiriは述べた。
ミャンマーの工場法では残業も含めて週に60時間以上働かないよう労働者に求めているが、New Look、Sports Direct、Henri Lloyd、Karrimor、H&Mに供給する工場ではそれより長い時間労働していることが報告されている。H&M、無印良品、Sports Direct、Henri Lloydに供給する工場では超過勤務の強制が、New Look、Pierre Cardin、H&Mに供給する工場では無給残業が報告されている。
(後編へつづく)
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_2738.html