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インドネシアが米国のTPP離脱を歓迎?

 
特に、東南アジア諸国の縫製繊維産業は米国のTPP離脱の決定に安堵している。
TPPは加盟国間での農産品、自動車や繊維製品といった様々な製品の関税免除を規定している。東南アジア諸国は10%の関税を課される一方でTPPに加盟するベトナムとマレーシアは免税となるはずであったが、その幸運は消えることとなる。
 
米国が最大の輸出市場であるインドネシアの縫製・繊維業者では特に期待が高まっている。2016年のインドネシアの繊維アパレル輸出のおよそ36%が米国向けであった。今年はその比率は39%に高まり、輸出額は48億米ドルに達すると予測されている。
 
「米国のTPP離脱の決定はインドネシアの繊維産業には有利に働くだろう。これで他の繊維輸出国と同じ価格条件で競争できることになる」とインドネシア繊維協会のAde Sudrajat会長はジャカルタグローブ紙に述べている。
 
米国のTPP離脱の決定から1週間でその違いはすでに現れている。インドネシアの繊維・縫製業者は米国のバイヤーの製品や価格への関心が高まっていることを感じている。「バイヤーの熱意の面では、すでに昨年よりずっと良くなっている」とSudrajat会長は話す。
 
ベトナムとマレーシアは損失を出さないためには米国への輸出でかかる10%をどうするか考えなければならないだろう。しかし、他のTPP加盟国であるオーストラリア、日本、カナダ、メキシコやニュージーランドへの輸出では同様の関税減免措置を受けることができる。
 
低・中所得国としては、EU市場がベトナムとミャンマーに輸入関税を免除していることも忘れてはならない。G20メンバーであるインドネシアにはそうした特権はなく、現在12.5%の関税を課されている。そのため、ヨーロッパ市場では小規模でも企業家精神に溢れた近隣国との競争が激烈である。しかし、インドネシアとEUはその状況を改善するべく現在交渉を行っている。
 
米国のドナルド・トランプ新大統領は就任からわずか3日後の2017年1月23日、米国のTPPからの離脱に関する大統領令に署名した。