TPP廃止がカンボジアを救う
ドナルド・トランプ米国大統領が大統領令により、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)から米国を撤退させたことで、カンボジアにおけるアパレル産業の競争力低下の懸念が後退することになるだろう、とアナリストらは述べた。
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「米国は第2位の衣料品輸出先であるため、TPPが廃止になればカンボジアのアパレル産業における脅威は薄らぐことになるでしょう。」と調査会社であるMekong Strategic Partners社のDavid Marshall共同経営パートナーは述べた。
TPPはアパレル産業に対する関税をほとんど撤廃させる予定であったため、カンボジアの衣料品輸出は、12の環太平洋諸国の一員として貿易協定に署名し、議会で間もなく批准してこの恩恵を受けようとしていたベトナムに敗れ去ることが懸念されていた。
「トランプ政権がTPPから撤退すると宣言したことで、カンボジアは当面救われたと言えるでしょう。」とBower Group Asiaのカンボジア担当のDavid Vanマネージング・ディレクターは述べた。
「カンボジアでは、海外直接投資(FDI)がベトナムへ向かうのではないかと心配してきました。」
「トランプ大統領は地域協定ではなく二国間協定を望んでいるため、カンボジアは最終的に、米国と二国間協定を締結するチャンスがあるかもしれません。」とVan氏は続けたが、一方で彼は、カンボジアが米国との二国間協定を締結するのは容易なことではないと指摘した。
「最初のBIT(二国間協定)は2007年に破棄されましたが、カンボジアの攻勢から米国企業を保護するための大きな予防策として2015年末に再開されました。」とVan氏は述べた。
BITは取引相手国にいる米国投資家に対し、内国民待遇、公正かつ平等な取り扱い、財産没収からの保護や投資のパフォーマンス要件、紛争解決などにおいて大きな特権を提供するものである。
「賃金競争力を背景にカンボジアの衣料品製造業が米国市場で重要な地位を占める可能性は高くはありません。」とMekong Strategic PartnersのMarshall氏は述べた。
だが彼は、「目を転じるとEUもまた、衣料品やその他米などの商品の主要な輸出先です。」と続けた。
カンボジアの輸出産業は景気の減退などに備えて新規輸出先を開拓している、とMarshall氏は指摘した。
「カンボジアでは様々な環境の変化の中にあっても、今後数年間で7%台半ばの強固な成長を遂げる見通しです。」
一方で、「カンボジアにおける依存状態からの救済:外国支援が民主主義をいかに弱体化するか」の著者で、ロサンゼルスのOccidental大学で外交と世界情勢の准教授であるEar Sophal氏は、TPP廃止はカンボジアに大きな影響を与えないだろうと述べた。
「私の予想では、今回の件がカンボジアの利益に大きな影響を与えないと考えています。他国が成長しない中で、カンボジアが急成長することはないためです。」とSophal氏は述べた。
またSophal氏は、カンボジアではTPPに署名するのに必要な、職場の安全衛生規則、知的財産権や環境保護のような達成要件について、あまり知られていなかったと述べた。
「(TPP廃止による)本当の損失は、TPPによって促進されたであろう高い基準の導入です。カンボジアは参加に否定的でしたが、もし参加していたならば、環境や労働水準が向上し、国や労働者に恩恵がもたらされていたでしょう。」
「基本的にTPPの基準は高く設定されていたため、TPPに参加するにはより厳しい基準が求められていたはずです。現在カンボジアの水準は低くに留まっており、知的財産権のようなものは保護されていないのです。」と述べた。
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_2731.html
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