その前に、一度、2016年中国A株式市場を振り返ってみたい。年初めには「サーキットブレーカー」制度(株式市場において、短時間で株価が極端に変動する場合、強制的に取引を停止させる措置)の導入でパニック的な売り注文が殺到して混乱が起きたほか、投資家からの中国経済の先行き懸念や元安観測などで、年間ベースで下落。
主要株価指数の上海総合は12月30日に前年末比12.3%下落の3103.64ポイントで1年間の取引を終えた。また、深セン成分指数と創業板指数も前年末比でそれぞれ、19.6%と27.7%下落した。
1. 元安
同誌は米トランプ次期大統領が米中貿易関係に関して、中国に強硬的な措置を実施すれば、人民元が対ドルで一段と下落すると示した。一部の専門家は17年末に、人民元は対ドルで5%下落し、1ドル=7.3元の水準になるとしている。元は16年通年で、対ドルで6%下落した。
米資産運用会社ブラックロックのヘレン・ヂユー(Helen Zhu)氏は同誌に対して、「もし中国当局が今後も外貨準備を取り崩して(為替市場で元買いドル売りを行って)元安を抑えていくつもりであれば、中国の中央銀行(人民銀行)は資本流出を食い止めるために、対ドルで元を1度限りの大幅な切り下げをするだろう」との見方を示した。
2. 米中貿易関係の緊張化
トランプ氏が大統領選挙活動中、大統領に就任すれば中国製品に対して45%の関税をかけると表明した。同誌によると、米金融大手モルガン・スタンレーの試算では、この公約が実施されれば、中国の輸出額が13%減少するという。
しかし多くの専門家は、この公約は米中双方にメリットがなく、実行しないだろうと推測している。「中国は米国への報復措置として、米国のボーイングではなく欧州からエアバスなどを爆買いする可能性があり、また高い関税は米国の消費者にも大きな負担となるからだ」。今後、米国と中国の間で新たな貿易パートナーシップが構築されるだろうとみられる。
3. 不動産市場
16年に中国政府は不動産バブルを沈静化するため、各都市で購入制限措置を打ち上げ、価格上昇が抑えられた。しかし、英銀HSBCの屈宏斌・チーフエコノミストは「今まで価格の急上昇がみられた上海北京などの大都市で移動人口が多く、住宅需要が依然として大きく、短期間に大きな下落はない」と述べた。
一方、中国習近平国家主席は、昨年12月中旬に開催された経済政策策定会議で「住宅は住むためのもので、投機活動のためのものではない」と不動産価格の高騰に対して厳しい姿勢を示した。今後、当局がどのような調整措置を打ち出すかによって株式市場も大きな影響を受けるとみられている。
4. 深センー香港での株式相互取引
国内外の投資家に切望された香港と深センの証券取引所の株式相互取引(深港通、深セン・香港ストックコネクト)が16年12月5日にスタートを切った。海外投資家は中国800社以上の企業の株式を取引できるようになり、同時に本土の投資家も香港市場での取引が可能になった。しかし取引初日に両市場の株価が急反落して不調に終わった。
同誌は深港通を通じて、国内外投資家は香港市場に上場する中国企業の株価は、国内市場より低いのに気づくという。同誌によると、不動産最大手万科集団の香港市場での株価は国内市場と比べると25%安い。投資家が深セン市場よりも、香港市場での取引を選ぶだろうとみられる。
市場関係者の間では、投資家による深港通への期待感から予想株価収益率が34倍と高くなっている香港証券取引所の株価は今後約20%下落すると観測する。
(翻訳編集・張哲)
ソース:http://www.epochtimes.jp/2017/01/26614.html