アジア開銀の失策、フィリピン政府が電動トライシクル事業を中止
フィリピン・エネルギー省長官は、現在進められているアジア開発銀行=ADB(本部首都圏マンダル―ヨン市)からの5億ドルに上る融資案件『電動トライシクル事業』の打ち切りを言明した。
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この案件は従来あるガソリン使用のトライシクル(3輪車)が公害を引き起こしている要因の1つと見て、5年間で10万台のトライシクルを電動トライシクルに替える計画であった。
しかし、ADBのこの案件が決まる以前から、フィリピンの現状に合致しない『机上の空論プロジェクト』と批判が強かった。
今回、長官による打ち切りは電動トライシクルの製造コストが高くて、元々購買能力のないトライシクル運転手には初期費用の用意さえも無理(購入価格は年収の推定10年分)、しかも電気という新たなエネルギー源への理解と設備が進まないことなど理由にしていて以前からの批判を裏付けている。
このプロジェクトでは日本の渦潮電機(本社愛媛県今治市)が2013年3月にフィリピンに子会社の『ビート・フィリピン』を設立し、受注に成功していた。
当時の同社発表の電動トライシクルの仕様は自重約450キロ、運転手を含めた定員7人で家庭用コンセントからの充電が可能で、充電には2時間を要し50キロの走行が可能になっている。
今回のエネルギー省決定により電動トライシクル案件は頓挫し、渦潮電機が受注、生産している3000台については中止を求めるが、既に生産済みの1600台については同省が買い取るとしている。
しかしながら、大量に引き取った電動トライシクルの行く末は、2011年にマニラで試験的に導入された電動トライシクルの半分以上がメインテナンスの悪さ、過重量などで半分以上が故障、放置されている状態からどぶに捨てるような話だと批判されている。
この中止について渦潮電機は今現在、何の声明も出していないが、大きな打撃になるのは間違いなく、今後賠償問題に発展する可能性もある。
一方、プロジェクトを進めたADBはフィリピンの実情を知らない国際金融機関として、以前から指摘されてきたが、この電動トライシクル事業で馬脚を現した。
しかもこのプロジェクトはADB前総裁で現在日銀総裁を務める安倍政権のイエス・マンが在任中に進めたもので、こういった見通しの悪い人物が日本経済の舵取り役になること自体無理があったと指摘されている。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news02&command=body&no=310&
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