アサイーのサスティナブルな新たな利用に取り組んでいるのは、同州のマラジョー島にあるサウヴァテーハ市。
アサイーヤシになるアサイーの果実は、直径約1~1.2cmの球状もしくは楕円型をしており、果実の95%は硬い種となっている。すりつぶしてピューレやジュースにできる可食部は、種の周りにあるわずか5%くらいの部分と言われている。
可食部分を採取した後、種は廃棄物となることが多い。一部、着色して天然素材のアクセサリーにする利用法も知られている。サウヴァテーハ市での取り組みは、種の新たな利用方法だ。
パラー大学(Uepa)の学生ジョゼアーニ・ゴンサウヴェス・ハベーロさん(42)もまた、地元でアサイーの非過食部分の廃棄物量が多いことに着目して、同大学の食品関連技術の卒業制作実習のテーマとして、アサイーの廃棄物を、椅子のベンチシート部分に再利用するプロジェクトに取り組んだ。
この制作は農業工学のカルメリッタ・ジ・ファッチマ・アマラウ・ヒベイロ博士とヌイバ・サントス教師に導かれて進められ、ホジヴァン・マトス研究員などの協力も得て進められた。製品の最終形は同州ベレン市の自然科学技術センターのデザイン研究所にゆだねられた。
カルメリッタ博士は、サウヴァテーハ市で日常的に問題となっていることがプロジェクトの背景にあると説明した
「種は路上にも多く捨てられるため、堆積してしまい景観をそこねるだけでなく、悪臭を放ち、ねずみを増やす要因にもなっています。この取り組みが進めば問題を解決する方向へ向かうでしょう」(カルメリッタ・ジ・ファッチマ・アマラウ・ヒベイロ博士)
プロジェクトに取り組んだジョゼアーニさんは、アサイーの廃棄物を使った椅子を学校の子どもたちのために制作することを目指しており、すでの市内のふたつの銀行が計画への協力を可能だとしているという。
「広場にあるコンクリートのベンチはほとんど壊れてしまいます。学校での状況はいうまでもありません。私たちの製品はごみ箱にあったものを再利用するだけです」(ジョゼアーニさん)
椅子の生産はステップを踏んで実現した。粉砕された約900グラムの種など廃棄物を使って、市内の農村部にある公立学校のために生産された。種子は回収されてから洗浄され、天日で乾燥させるのに25から30日を要した。
乾燥後、研究室に運ばれた種子は粉砕された後に白色の接着剤で成型され、子どもが使う椅子の材料となるよう厚さや大きさも考慮されて合板に成型された。椅子の足の部分はこの地域特有のアナニンという樹木の一部が使われた。
教師のカルメリッタさんによると、アサイーの農業生産の廃棄物を利用した製品を作るこのプロジェクトはより広い汎用性があると述べた。
「制作自体は一日もかかりませんでしたが、製品に使う材料を乾燥させるのに長い時間を要しました。椅子は子どもたちに合わせて40cm四方になるように指定しました。この素材には、柔軟性や耐久性があるので、額縁、またはテーブルや椅子、本棚といった家具の製造にも使用することができます」
(文/麻生雅人、写真/Nailana Thiely/ASCOM UEPA)
ソース:http://megabrasil.jp/20170103_33323/
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