ベトナム、労働コスト上昇に伴い繊維業に生じる様々な課題
ベトナムにおける繊維製品は2010年〜2015年の平均年間成長率が15%と、多くの場合主要輸出品目の一つとみられている。しかしながら、繊維業は様々な課題にも直面しており、最近の課題はベトナムにおける労働力がかつてのように安価なものではなくなったことが原因となっている。
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2015年、繊維業は10%強ほどしか成長しなかったが、それでも繊維品目合計の輸出額は275億米ドルに到達した。繊維業は2016年の目標成長率を10-15%に置き、輸出額は310億米ドルに到達すると見込んでいた。
しかしながら、市場の不安定性と世界的な需要の落ち込みにより、ベトナムの繊維輸出額は約15億米ドル増のみの283億米ドルとなり、対前年の成長率は2008年以来最低となる5%増であった。
それだけでなく、熾烈化する競争に伴い国内の繊維企業は市場の拡大や顧客の獲得といった面で様々な問題に直面し、競争の優位性を失いオーダーの減少のリスクにすら直面することとなった。
専門家によると、以前は安価な労働力を競争力としベトナムには絶えずアパレルの発注が流れ込んでいたが、労働コストが上昇し、すでに強みではなくなってしまっている。結果、発注先は必然的にラオスやカンボジア、ミャンマーなどのコストが低い国に移行してしまった。
ベトナムの繊維業が常に対策を模索している課題の一つとして、価格をコントロールし競争力を強化するために、輸入原材料への依存を避けつつも低い付加価値で業務を外部委託するという現在の状況をいかにして取り除くかということが挙げられる。(ベトナムは原材料の80%以上を輸入に頼っている)
ベトナム国営繊維企業グループや幾つかの主要企業が紡績、製織、染織、仕上げの流れに投資は行っているものの、繊維輸出を専門としている幾千もの企業のニーズを満たすまでには至らず、その間資源のない企業は、コストが低くすぐに見返りのある外部委託の注文を受けてしまっている。
その一方で、労働スキル、最新技術・設備、多様化する製品などの競争要因により、繊維業界のレベルを高める事も難しくなっている。
資源の限界により、ほとんどの国内企業は毎年少額の投資しか行うことができない。この状況は外国直接投資(FDI)企業とは対照的で、外国直接投資(FDI)企業は7000ある繊維企業の25%以下であるにもかかわらず輸出余力合計の70%を占めるに至っている。このことは、適切な政策や開発方針がすぐに組まれない限り、外国企業の国内企業に対する圧倒的な有利は拡大するばかりであることを示している。
ベトナム繊維協会によると、2016年は2008年以来最低の成長率であり、ベトナムの繊維業界によって非常に厳しい年であったという。(2008年は世界的な経済危機によりベトナムの繊維業取引高がゼロ成長に終わった年である)
ベトナムの繊維業は2018年までに多くの課題に直面することが予期されており、特に小中規模の企業は低い競争力や非常に厳しい生産条件により倒産のリスクに直面すると見られている。
また多くの顧客が、ベトナムの繊維・アパレル産業にとって最大の輸出市場であるヨーロッパ・アメリカに対する輸出品に優遇税制のあるカンボジア、ミャンマー、ラオスに注文を移行している。
従って、ベトナム企業はコストを削減し、生産性を向上し、技術に投資を行い、製品を多様化しつつ、生産方法をODM・OBMモデルに変更していく必要がある。さらに政府と関連省庁は行政改革を行い、事業を保証するために資本、インフラ、雇用、収入、医療保険に関する政策に対する適切な支援を行うべきである。
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_2691.html
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