2016年12月12日

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アジア太平洋会議、東南アジアの安い労働力は、終りを告げるのか

アジア太平洋会議、東南アジアの安い労働力は、終りを告げるのか

国際労働機関(ILO)の第16回アジア太平洋地域会議で、ILOタイ・カンボジア・ラオス事務所のMaurizio Bussi主任担当官がSoutheast Asia Globe誌に対し、地域の経済的成長を社会的進歩に変えていく事への課題を語った。

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「GDPの成長率やその他のパラメーターから見れば多くの国が急速な成長を見せているのは事実である。しかしながら、社会的進歩とは本質的に仕事の質や保証を意味するもので、ほとんどの国ではこの成長が社会的進歩にはつながっていないという感覚が根強くある。 
 
お決まりの言葉で言うのならば、「高齢化と成長」であろうか。高齢化と、急速に成長を遂げるもののあまりバランスが取れていない、ある種の若い社会における成長である。高齢化が進んでいるのは国であり、数年前に経済システムの構築や経済の多様化のために投資が行われた経済である。今となっては年金や失業手当を支払う時期になっている。
 
タイの事例を見てみよう。タイは約25年前、年金や住宅保険を提供する体制の構築に多量の投資を行った。現在、国民は引退時期に差し掛かっており、政府は年金の支払いを始めなければならない。
 
二つ目の動向としては、安い労働力を段階的に打ち切っていく政策を国がどのようにして理解し、実行するかと言うことである。これらの国では過去20〜30年にかけて、安い労働力をベースにシステムを構築し、経済成長を遂げてきた。便利で、労働力となる人々も豊富で、インフラも比較的整った、世界の工場であったのだ。人々は長時間働くことに対し意欲的で、最低と言っても過言ではない価格でたくさんのものを生産したのである。
 
この傾向は徐々に変わってきており、この種の仕事を受けることに積極的ではなくなってきている。別の発展方法が登場したためなのか、代わりに作業を行う機械の導入のためなのか、又は特定の事を特定の方法で行うことがあまり有益ではなくなったためなのか。このため、安い労働力の打ち切りという道筋を果たして国は本当に理解できるのであろうか。
 
私の考える3つ目の動向は、経済的統合である。労働力といった側面での経済統合には、統制的な人の移動やスキル証明、社会保障の法律など、いくつもの観点がある。専門職で定評のある人間がA国からB国に移動する場合、同じ職場環境や雇用条件があるのか、住宅保険、基本給付額、年金は同じ条件なのか。帰国すると決断した場合、保障内容を国に持ち帰ることはできるのか。国内の労働者と外国人労働者の間で差別が発生しないことを保証する、スキル認定のメカニズムはあるのか。人々が国から国へと移動することができる、より統合された労働市場。これが、ASEANが取り組んでいることなのである。
 
そして4つ目は少し横断的なテーマで、労働市場のエネルギーという側面でこれら三つの分野に役立つ持続可能な発展目標の国際的な枠組みを、我々がどのように利用するかということである。政府が、これら三つの分野に価値、原則、規範をしっかり植え付けるために持続可能な開発目標(SDG)の枠組みや、全ての国が取り組みに合意した統計能力の強化や政策の実施をどのように利用するのか、ということである。」
 
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_2664.html

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