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カンボジア、労働者が工場閉鎖に抗議

 
Golden Harbor縫製工場の従業員Sok Sopheapさんは、工場の閉鎖日は12月9日であるものの、操業は既に停止し、全ての製品、原材料は持ち出されており、従業員の未払賃金が支払われないままとなることが最大の心配事だと述べた。  

「工場は既に閉鎖され、経営者は全ての衣服を持ち去っており、残った従業員がそこで働くことは認められていません。なぜ今我々が工場に対して従業員600人分の未払給料について即刻の支払いを求めているのかというと、もし来月まで待てばどこから給料をもらえるのか分からなくなるからです。」「もしマネジャーがここからいなくなれば、一体誰から給料が支払われるのか分かりません。」と彼女は言った。
 
Sopheapさんは、まず短期雇用契約の従業員の解雇が行われたが、その際事前通知は一切なかったとした。噂によると残る300人の従業員について、工場は12月分の給与と手当の半額を支払うことを約束しているという。
 
Golden Harbor縫製工場労働組合のKong Socheat組合長は、320人の従業員が直ちに解雇されたことについて、事前の通知がなかったことは労働法に違反していると指摘した。また労働組合は工場に対し、最終賃金だけでなく年俸の5%、賞与、解雇補償ボーナス、インセンティブの5つの補償を行うよう要求していると続けた。
 
「我々は(昨日の)午後、工場側と交渉し、この5つの補償について求めましたが、彼らは勤続年数2年以上の従業員にだけそれらを提供すると主張しました。 勤続年数2年未満の従業員は、5つの補償のうち3つのみ受け取ることになります。」と彼は述べたが、一方で工場経営者が示した条件についての明言はしなかった。「従って(条件を含めた)合意はまだしていません。」と彼は続けた。
 
一方で工場管理部長のKeo Simorn氏は、工場では先週末に従業員に対して解雇を通知しており、また労働法の規定に従い、短期雇用契約の切れた従業員に対して給与、年間賞与だけでなく、年俸の5%を支払ってきたと主張した。「この工場での対応方針が今後どうなるのかは分かりませんが、今まで工場長は法律に従って対応してきており、違法行為は何もしていません。」と彼女は主張した。
 
労働省労働紛争局のVong Sovann副局長は、既にワーキングチームが620人の従業員の救済策を検討するためにこの工場を訪問しており、専門家が工場経営者と共に労働争議を解決するための協議を行っていると述べた。しかし従業員らは補償を受けないまま工場がなくなってしまうのではないかという恐れから、解決策が見つかるまで抗議活動を続けることを誓っている。
 
カンボジア縫製業協会(GMAC)のKen Loo事務局長によると、今年8月現在で約70の工場が閉鎖されており、既に去年閉鎖した35工場の2倍の数となっている、と8月に現地新聞が報じた。これは最低賃金の上昇により、利益率が低下したことによるという。
 
7月に香港資本のセーターと靴のメーカーであるChung Faiニットウェア工場がプノンペンで工場を閉鎖して200人の労働者が何の補償もなく解雇された際には、施設内に残った設備を資金化して報酬を受け取ることができるよう、何人かの元従業員が2ヶ月もの間工場敷地内に寝泊りして施設の警備をすることとなった。
 
Chung Faiニットウェア工場において200人以上の労働者代表を務めるPhann Sophorn氏は9月に、雇用主は2か月以上前に国外へ退去しており、最終月の賃金、賞与、退職金などは払われていないことを明らかにした。プノンペンにあるGlobal Apparels Limited工場は5月31日に、10月までに操業を停止し、5月に雇用契約の終了する1000人の労働者のうち600人について契約を更新しないと発表した。話によるとこれらの労働者は、たった1日前に契約終了通知を受けたという。
 
7月と10月に契約の終了する残りの400人の労働者も契約が更新されることはない。9月に労働省は、労働者に事前解雇通知や補償を提供することなく国外退去した工場経営者によって困窮させられた労働者に対し、いくらかの金銭的な救済を行う法律を制定する準備をしていることを明らかにした。
 
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_2656.html