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ベトナム、PVTexの夢砕かれ、巨額損失が明らかに

 
数兆ドン規模の損失を負った大規模ポリエステル工場PVTexのVu Dinh Duy社長は数年にわたって業務を放棄しており、連絡がつかない状態である。2008年に創業した同工場はベトナムの輸入ポリエステルへの依存度を30%低下させることができると期待されていた。どのようにしてこの巨額の損失が発生したのか調査が行われる予定である。
 
PVTexをはじめとする失敗企業はベトナム繊維産業の発展を阻害する恐れがある。繊維産業向けの染料や化学薬品に特化した米国企業Huntsmanが所有するHuntsman Textile Effectsの租税倉庫は創業から日が浅いにもかかわらず、すでに一杯である。ベトナムでの新規繊維企業の同社製品への需要は非常に高い。
 
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への期待から、日本、韓国、中国やインド企業からの投資でベトナムに数多くの繊維工場が開設された。日本の総合素材メーカー、シキボウは中国工場の生産量を減らし、ベトナムでの生産量を増やすことを計画している。クラレ大阪本社は251億米ドルを投資しダナン市にスポーツウェア生産ラインを設置した。伊藤忠は2014年、ベトナムに月間50万メートルの生産能力の布地工場を設立した。繊維産業分野への外国直接投資(FDI)は2015年末までに過去最高となる20億米ドルを記録したという。
 
その反面、輸入原材料への依存度低下を目的として繊維製造、染色や繊維事業に大規模な投資を行っているのはベトナム企業ではVinatexのみである。VinatexとPetroVietnamが共同開発したPVTexはそうした事業のひとつであった。設計上1日50万トンの繊維生産能力があり、年間16億米ドル分の輸入ポリエステルを安価な国内産に転換できると期待されていた。
 
PVTexは当初計画から2年遅れた2012年に操業を開始した。しかし操業開始からたった2年で1兆4720億ベトナム・ドンの損失を計上した。Vinatexは2014年にPVTexの売却を決定した。2015年初めに、工場は操業を停止した。その後操業は再開されたものの、製品1トン当たり334万ベトナム・ドンの損失を出し続けた。
 
インドのIndorama GroupとシンガポールのFortrec ChemicalsがPVTex買収に関心を示しているが、最終的な決定はまだなされていない。
 
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_2648.html