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EUの法人税課税ルールを統一、欧州委が税逃れ対策で提案

EUでは加盟国によって法人税の算定方法や減価償却、税控除の基準が異なっている。このため、域内の複数国で事業を展開する企業は、各国の法人が個別に法人税を処理することで税務コストがかさむ。二重課税といった問題もある。CCCTBの導入には、これらの基準を統一することで、こうした課題を克服すると同時に、域内のルールが異なることを悪用した課税逃れを防ぐ狙いがある。企業は課税利益を共通の基準で計算し、連結した上で、グループの代表企業が単一の申告書を作成し、申告を行うことになる。

欧州委は2011年、企業の税務負担を軽減することを主な目的として、CCCTB導入を提案したが、税制の統合に批判的な英国、アイルランドが反発して協議が紛糾し、棚上げ状態となっていた。しかし、その後にEU内で多国籍企業の租税回避問題が相次いで浮上したことから、課税逃れ対策としても有効と判断し、復活を模索。昨年6月に法人税制の抜本的な改革に向けた行動計画を発表した際に、同制度の導入を打ち出していた。

当初の案では、企業活動の支援が主眼となっていたため、CCCTBを採用するかどうかは各企業の判断に委ねることになっていた。欧州委は今回、課税逃れ対策に軸足を移したことから、年間売上高が7億5,000万ユーロを超える大企業に強制的に適用することを提案。また、ある国で生じた利益と他の国で生じた損失を相殺できるようにする連結納税の導入は先送りし、まず課税利益の計算基準を統一する2段階方式で実施する方針も打ち出した。

EUでは加盟国の税制主権を尊重し、法人税率を各国が自由に設定できる状況にある。このため大きな税率格差があり、利益を税率が低い国に移転するといった課税逃れの温床となっている。欧州委はCCCTB導入によって課税ルールを統一することで、移転価格の悪用などは回避でき、同問題への対応が大きく進むとしている。

ただ、EUでは税制関連のルール改正には加盟国の全会一致による承認が必要で、調整の難航が予想される。欧州委が2段階での導入を提案したのは、各国の賛同を取り付けるのが難しいと目される連結納税を課税基準統一と切り離すことで、合意しやすい環境を整える狙いがある。

ソース:http://fbc.de/eur/eur3550/