ドイツ、外資・国外政府からの企業防衛へ、ドイツ銀行問題影響
国内企業を国外の企業・政府から防衛するための検討がドイツの政財界で行われているもようだ。保護主義など経済エゴイズムの潮流が世界的に強まり、ドイツの有力企業が巨額の制裁金を科されて経営危機に陥ったり、互恵主義に反した“不当な”買収の標的になるケースが出ているためで、外資規制の強化や、有力企業間の相互支援システムである「ドイツ株式会社(Deutschland AG)」の“再生”が議論に上っている。日曜版『ヴェルト』紙などが報じた。
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同紙によると、独経済界の首脳およそ20人は最近、経営危機が噂されるドイツ銀行の支援について協議した。BASFのボック社長、シーメンスのケーザー社長、独産業連盟(BDI)のグリロ会長、ケルバー専務理事などそうそうたるメンバーが参加したという。
ドイツ銀は9月中旬、住宅ローン担保証券(RMBS)の不正販売問題をめぐる米司法省との交渉で和解金140億ドルの支払いを要求されたことを明らかにした。同行の時価総額は株価の低迷で約160億ドルに落ち込んでおり、仮に140億ドルを支払うと資本金がほぼ費える計算のため、同行の株価は一段と下落した。
ドイツ銀は世界的に事業を展開するドイツの大手企業にとって必要不可欠な金融機関で、与党キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)のフックス院内副総務は「経営破たんさせてはならない」と明言する。ただ、リーマンショックに伴う金融危機の際に、経営危機に陥った金融機関が最終的に納税者の負担で救済されたことへの反省から、欧州連合(EU)では域内銀行の破綻処理を公的資金に頼らずに進めるルールがすでに導入されており、ドイツ政府はドイツ銀の政治救済を行わないとしている。
大手企業がドイツ銀支援を検討するのはこうした背景があるためで、支援協議に参加した財界人は、同行が危機に陥った場合はまず「支援声明」を公表することで意見が一致した。これにより同行を標的とする投機に歯止めをかける考えだ。同声明が十分な効果を発揮しない場合は、劣後債引き受けの形で金融支援する。資本参加については消極的な意見が強いという。
ドイツ銀をめぐっては米法務省が和解金支払いのほか、米国の投資銀行業務の部分放出も要求しているとの観測がある。この要求は米投資銀行の後押しを狙った同国政府の保護主義的な産業政策とされる。
米国では自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)も今夏、ディーゼル車排ガス不正問題に絡んでVW車の所有者と当局に総額150億ドル強を支払うことで和解した。これはドイツ企業から巨額の資金が米国に流出することを意味する。自国優先の経済政策を強化する動きは世界的に強まっており、BDIのケルバー専務理事は「独経済界の約1,000億ユーロの国外資産が危機にさらされている」と警戒感を表明。政財界は防衛策を講じなければならないと明言した。
ソース:http://fbc.de/sc/sc38813/
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