欧州鉄鋼協会(EUROFER)によると、中国製の熱間圧延鋼材と厚板鋼材のEU市場での2015年のシェアはそれぞれ4.3%、14.4%で、12年の1%、4.6%から急増している。欧州委はEUROFERから中国企業が不当なダンピングで輸出を拡大し、域内鉄鋼業界を圧迫しているとの苦情が寄せられたことから、2月に反ダンピング調査を開始。ダンピングが行われていると判断し、暫定的な措置の発動を決めた。
EUは鉄鋼が供給過剰状態にある中国のメーカーが、政府の補助金を後ろ盾に不当な廉価で製品を輸出しているとして批判を強めている。8月に中国製の冷延鋼板に正式な反ダンピング措置を発動したばかりだ。これまでに反ダンピング、反補助金関税を課した中国の鉄鋼製品は15品目に上る。
欧州委は通常、反ダンピング調査を開始してから9カ月以内に暫定的な反ダンピング関税を課すかどうかを判断する。今回のケースでは域内業界の苦境が深刻化していることを考慮して迅速に対応し、期限の5週間前に動いた。
暫定的な反ダンピング措置の適用期間は6カ月。その間に欧州委はさらに調査を進め、必要と判断すれば、最長5年の正式な反ダンピング措置に切り替えることになる。
(参照)http://fbc.de/eur/eur3483/