ベトナム、縫製産業に危機、他国との競争激化
2016年はベトナムの縫製・繊維産業にとって過去10年で最も困難な年となりそうだ。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)による特恵関税制度の適用を待つ間に、発注が他国に流れつつある。Phong Phu JSCでは今年上半期の事業計画を終え、昨年同期と比較すると輸出額が大きく落ち込んでいる。
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縫製・繊維業界は今年の成長率は生産量でわずか6%の伸び、売上高で2.5-3%の伸びを予測している。Phong PhuのCEOは、この数字は世界市場での苛烈な価格競争を反映したものだと話す。
ベトナム繊維アパレル協会(Vitas)のVu Duc Giang会長によると、EU市場は発注側による強制的な値下げや発注キャンセルにより縮小している。日本と韓国市場も今年上半期は前年同期と比較すると低調であった。
上半期はベトナム企業もまだ持ちこたえることができたが、8月以降、受注不足が負担となりつつあるとGiang会長は話す。小規模企業のみならず、ロンアン省の日本企業の投資による工場も受注不足により閉鎖されている。
現在、大規模市場ではインド、カンボジア、パキスタン、ミャンマーからの輸入が増加しつつある。EUへの縫製輸出は2015年にはカンボジアがベトナムを上回り、対EU市場で5番目の輸出国となった。2010年のベトナムのEUへの輸出額はカンボジアの2倍であった。
苦況を反映し、縫製アパレル協会では2016年の輸出予想額を310億ドルから290億ドルに下方修正している。Garmex Sai GonのLe Quang Hung会長によると、カンボジアとミャンマーの生産コストは1人1ヶ月当たり100ドルであるのに対し、ベトナムでは300ドルに上るという。結果として、ベトナム人労働者の方が熟練しているものの、価格面で他国に負ける状況となっている。
自由貿易協定が調印されれば、ベトナム企業は関税特権を享受することができると業界アナリストは話す。しかし、現在までベトナムは韓国との自由貿易協定に調印したのみで、EUとの自由貿易協定は来月発効するものの、TPPについてはまだ批准待ちである。
ベトナム・EU間の自由貿易協定によると、EUはベトナムからの輸出品への関税を撤廃するが、それは発効から7年経過後である。EU市場への平均関税率は9.6%である。Trinhによると、ベトナムは為替安定化政策を取っているため、通貨切り下げを行った他国製品に対してベトナム縫製製品の競争力が低くなっている。
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