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【外国人の視点】欧米人が日本語を学ぶ「6つのメリット」

 
【1】実はそこまで難しくない
欧米では、日本語はとても難しいというイメージがあります。しかし、実際は他のアジア言語と比べると簡単な点も多いそうです。
 
例えば、発音。中国語や韓国語に比べてみても、日本語の発音は簡単です。全ての音が母音(あいうえお)で終わるので、初めての人でも真似するのはさほど難しくはありません。漢字を覚えるのは大変ですが、ひらがなで代用できます。また、カタカナ語は外国人にとってとても厄介ですが、日本人は日常的に英単語(ドア、サイクリングなど)を使うので、この点も欧米人にとっては有り難い要素です。
 
さらに、主語をとばし、曖昧なストラクチャーでも意味が通じる日常会話(口語)は日本語初心者でも、わりとすぐに理解できます。欧米人にとって、確かに日本語は難しい言語ですが、海外でイメージされているほど難しくはないといいます。そんなに日本語ができなくても、少し話せるだけで周りの欧米人を圧倒できるそうです。
 
【2】アニメを日本語で観る
『lost in translation』とは、外国語を母国語に翻訳する際に、抜け落ちてしまう意味やニュアンスを指します。抜け落ちる原因は、「外国語が意味する概念が母国語にはない」からです。例えば、日本語の「お疲れ様」、「よろしく」、「お邪魔します」などは英語に翻訳できません。このような表現は適当に似通った意味の英語をあてて、”Thank you for your hard work(お疲れ様)”、”I beg your kindness(よろしく)”、”Sorry for bothering you(お邪魔します)”と無理矢理訳すこともできますが、どれもしっくりしません。とてもおかしいです。
 
しかし、翻訳を介さないで日本語の持つ意味をそのまま理解できれば、同じアニメを観るのでも世界観が全く違うように感じられるでしょう。特に邦画は、ハリウッド映画に比べてセリフが少なく、スローテンポで、「空気で伝える」映像であることが多いです。役者の話す一言一言を感じ取るには、やはり日本語で理解したほうがいいでしょう。海外で人気の日本のアニメやジブリ映画好きな外国人は、日本語を学ぶ価値は高いと思います。
 
【3】英語ができる日本人が少ない
せっかく第3外国語を学習しても、相手の外国人が英語を話せてしまったら、結局は英語で会話することになってしまいます。その点、日本人は英語を話せる人が比較的少ないので、日本人との会話は必然的に”日本語”になる可能性が高いです。
 
ちなみにEducation First (EF)によると、日本人の英語力は世界30位。台湾、香港、中国よりは順位が高いですが、韓国やベトナム、シンガポールには抜かれています。しかし、これは日本語を学習する外国人にとっては朗報で、日本語を学ぶモチベーション(動機づけ)になります。日本人を相手にする場合、日本語が必要になる確率が高いという証明です。
 
【4】日本語ができる外国人も少ない
逆に、ヨーロッパ人で日本語を少しでも話せる人を探すのは至難の業です。ヨーロッパ人は3か国語、4か国語話せる人も珍しくないですが、ほとんどの人は言語ルーツが同じ言語を選択しています。例えば、フランス人が第3言語として、起源が同じラテン語のイタリア語やスペイン語を選択するように、なるべく母国語に近い言語を学習するのです。
 
よって、欧米人でアジアの言語を話せる人はかなり希少です。珍しく、難しい日本語を学習したという経験だけで、会話のネタとなることが多いと言います。海外在住の日本人上司やクライアントのお偉いさんと、コネを作るチャンスが巡ってくるかもしれません。
 
【5】アウト・オブ・ボックス
言語ルーツが全く違う言語を学ぶというのは、「アウト・オブ・ボックス」シンキングに繋がります。つまり、従来の常識を破り、全く新しい言語概念を学ぶことで、枠にとらわれない発想や想像力を鍛えることになるそうです。
 
例えば、フランス語は、日本語に比べて明瞭な言語です。フランス語は時制の種類が多く、過去形だけでも「瞬間を表す複合過去」、「終結点がない過去を表す半過去」があり、それぞれが別の情報を伝えます。名詞の前につける冠詞のle(un)、la(une)、les(des)もそれだけで立派な情報であり、何を選び取るかで伝える内容が変わってきます。このようなルールが多いということは、それだけ“テキトーに話すことが難しい言語”だということです。ルールブックに従ってブロックを積み上げるように、言葉を発する前に論理的に言葉を組み立てる必要があります。だからこそ、フランス語学習を通して、論旨を明瞭にして話す訓練ができたように感じています。
 
逆に、日本語を学んだマダムリリーの旦那は、“語尾で感じ取る”訓練ができたと言います。主語と動詞で始まるフランス語に比べ、日本語は最後まで聞かないと何を言わんとしているのかわからないそうです。間に挟む「ちょっと…」、「けど…」、「何か…」のような短い言葉でも、多くのニュアンスを含んでいることがあります。日本語は話者よりも、“聞く側が努力しなくてはいけない言語”。日本語を学習するようになって、以前よりも辛抱強く人の話を聞くようになったとそうです。
 
【6】インターネットコンテンツ、世界第6位
インターネット上で最も多く使用されている言語は英語で、53.6%のコンテンツが英語で表記されています。2位はロシア語で6.4%、3位はドイツ語で5.6%、そして第4位が日本語で5.1%です(2015年3月調べ)。
 
世界共通言語の英語を習得できた後は、インターネットで使用されている頻度の高い言語を学んでおくと良いでしょう。日本語は、インターネット上ではアジアで最もコンテンツが多い言語。それだけサイトの数が多く、日本語でしか得られない情報も多いということです。インターネットユーザー数では中国語話者が圧倒的に多いですが、コンテンツ数では日本語は負けていません。
 
【おわりに】
以上が、外国人が日本語を学ぶべき理由です。ちなみに、日本語を海外でもビジネスに活かせるのではないかと思って聞いてみましたが、この点では日本語はあまりメリットがないそうです。日本のライフワークバランスを考慮すると、日本で就職したいと考える欧米のビジネスマンは少なく、日本での生活に魅力を感じる欧州人は少ないからだそうです。ビジネスや生活、移住という点では、他の言語のほうが勝ると言います。労働マーケットの観点からも、日本の企業は他の欧州企業に比べてオープンではないというのも理由の一つだそうです。
 
とはいえ、日本語を学んで良かった!と言ってくれる外国人がいることは嬉しいことです。四角四面のように論理的なヨーロッパ言語にはない日本語の魅力を、世界中の人に知ってほしいなぁと、思います。