フィリピン・セブ市のBRTプロジェクトは遅延、採用に難点も
セブ市の危機的な交通渋滞対策として、かねてより計画中であった『新交通システム計画』の有力候補である『Bus Rapid Transit=BRT』は、計画段階で暗礁に乗り上げている。BRTとはバスを基盤にした大量輸送システムをいい、既存の道路に専用レーンを設けたりして運行を計るもので、世界では南米の限られた国を中心に運行されている。
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日本にもこのBRTシステムと似た路線はあるが、多くは鉄道の廃線軌道を利用した専用道を走っている。
狭い道路で市街が作られているセブのような地域の既存道路に割り込む形でBRTを作っても、効果は薄く道路渋滞に一層の拍車をかけると見られている。
そのためマニラ首都圏で採用されている『高架式軽量鉄道=LRT』【写真】にすべきとの声も高いが、こちらは莫大な建設費がかかるために、運行上問題は多くても安い建設費で作れるBRTにセブの関係者はなびいている。
セブのBRTは建設費106億ペソ(約265億円)を見込んでいて、その原資は世界銀行からの融資となっている。
先に施政演説をしたドゥテルテ大統領は演説の中で、セブ及びミンダナオ島地域への鉄道建設に言及しているが、セブ市長は鉄道の建設コストに加えて保守コストが年間30億ペソ以上(約75億円)もかかる事から、セブでは鉄道建設は難しく、BRTを推進すると表明。
一方、5月のセブ市長選挙で敗れた前市長は鉄道システムの方が良いとしていて、地元の政治屋でも意見が分かれている。
BRTプロジェクトの内容だが、第1工期をセブ市北部のタランバン地域から南部のブラカオ地域までとし、最終的には16キロの営業路線で33ヶ所のバス停留所と176台のバスで運行。利用客は1日33万人を予定している。
特に州庁舎からフェンテ・サークルを結ぶ区間は重点的に施設を充実されるが、この通りは片側3車線を持つ市内でも最大の直線道路で、その1車線をBRT専用レーンとするのは簡単だが、他の地域では渋滞する車と競合するため、仮に作っても運行は上手くいかないとの指摘が強い。
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