ベトナムでは新しい小売店を出す際に政府が地元企業への影響を審査しており、その制度の不明確さが店舗のチェーン展開を阻んでいた。しかし、2007年の世界貿易機関(WTO)への加盟を皮切りに市場の透明化が進み、出店に関する規制も徐々に見直された。今年の5月には政府が500平方メートル以下の小型店なら審査が不要になる規制緩和策を発表し、年内にも実施される見込みだ。
ベトナムの2015年度の小売市場は1098億ドル(約11兆円)と、この5年で2.4倍にも膨らみ、2020年には1790億ドルにまで拡大する見通しだ。地元企業だけでなく外資系企業も積極的な進出を進めており、イオンが今年7月に現地では4号店となる大型モールを開業するほか、セブンイレブンも2018年2月までの進出を計画している。
狭い道路と蔓延的な渋滞という物流の課題をどのように乗り越えるかが外資系企業の成長のカギとなる一方で、地元企業は好立地への出店などで新参者の企業へ対抗する。