利下げは金融危機下の2009年3月以来、7年5カ月ぶり。金融政策委員会のメンバー9人の全会一致で利上げが決まった。7月の会合では利下げを支持したのは1人だけだった。中銀のカーニー総裁は記者会見で、状況に応じて年内に一段の利下げもあり得ると明言した。
量的緩和では、今後6カ月の間に英国債600億ポンドとポンド建ての社債を最大で100億ポンド購入する方針を決めた。量的緩和の拡大は12年7月以来、4年1カ月ぶり。
さらに利下げ効果を高めるため、中央銀行から金融機関に政策金利に近い利率で資金供給する新たな仕組みを導入することも決めた。企業や個人も利下げの恩恵を受けられるよう、今後4年間に最大1,000億ポンドを供給し、銀行の融資拡大を促す。
カーニー総裁は一連の緩和策について、EU離脱決定を受けた「例外的な措置」と強調し、景気の先行きに不透明感が漂うなか、包括策は経済を下支えするうえで「妥当な規模だ」と述べた。そのうえで総裁は、メイ新政権が今秋にまとめる景気刺激策などを通じ、EU離脱に向けた財政政策の方向性を明確に示すことが重要だと指摘した。
EU離脱決定後、英国では景況感の悪化を示す統計が相次いで発表され、実体経済への影響が顕在化し始めている。中銀は同日発表した四半期ごとの経済見通しで、今回の緩和策により、16年の景気後退は回避できるとして2.0%の成長率予測を据え置いたが、17年の成長率は2.3%から0.8%に下方修正した。